ロシア 高速炉「BN-1200M」に設置許可を発給
07 May 2025
ロシアの連邦環境・技術・原子力監督庁(ロステフナゾル)は4月28日、ロシア国営原子力企業ロスアトムの電力部門に、ベロヤルスク原子力発電所5号機における高速炉BN-1200Mの設置許可を発給した。
BN-1200Mは、出力122万kWeのナトリウム冷却高速炉。今回の設置許可取得により、同炉の建設にむけた準備工事が年内にも開始される。2024年7月、ロスアトム傘下にあるアトムエネルゴプロエクト社(エンジニアリング部門)とロスエネルゴアトム社(発電事業者)は、ベロヤルスク5号機の建設に向けた設計文書の作成に関する契約に署名。設計文書の作成にあたり、多くの包括的なサイト調査が実施され、発電炉の安全性と、技術規制、ロシア連邦の規則および基準、法令に準拠していることを示す一連の文書がロステフナゾルに提出された。
「ベロヤルスク発電所でのBN-1200M設置により、クローズド・サイクルの環境・経済的利益を完全に具現化することができる。ベロヤルスク発電所のスタッフは、ユニークなナトリウム冷却高速炉BN-600とBN-800の膨大な運転経験を蓄積しており、BN-1200Mの同サイトへの設置は合理的だ」と、ベロヤルスク原子力発電所のI. シドロフ所長は強調した。
同サイトでは、BN-600(60万kWe)とBN-800(88万kWe)がそれぞれ1981年、2016年から運転中である。1、2号機(軽水冷却黒鉛減速炉)は閉鎖済み。BN-1200Mは2027年に着工され、完成は2034年の予定。運転期間は少なくとも60年で、80年まで延長される可能性がある。使用済み燃料の再処理により得られるプルトニウムおよびウラン濃縮の副産物(劣化ウラン)から製造されるMOX燃料を使用、放射性廃棄物を減容させ、産業規模でのクローズド・サイクルの実現を目指している。
このほか、ロシアでは第4世代の原子力発電システムの確立と商業導入に向けて、トムスク州セベルスクにあるシベリア化学コンビナート(ロスアトム燃料部門の企業)のサイトにおいて鉛冷却高速実証炉BREST-OD-300(30万kWe)と、併設される燃料加工/再加工および再処理モジュールを備えたパイロット実証エネルギー複合施設(PDEC)の建設プロジェクトが進行中である。