原子力産業新聞

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チェコ テメリンに米製燃料を初搬入

09 Jun 2025

桜井久子

WE社製燃料の受入れ検査  Ⓒ ČEZ

チェコ電力(ČEZ)が運転するテメリン原子力発電所(VVER-1000×2基、各108.6kWe)に523日、米ウェスチングハウス(WE)社から燃料集合体30体が初搬入された。WE社はこれまでのサプライヤーであったロシアのTVEL社に代わり、15年ぶりのテメリン発電所への供給となるという。チェコのエネルギー安全保障を大幅に強化する重要な一歩である。

ČEZはテメリン発電所の他、ドコバニ発電所(VVER-440×4基、各51.0kWe級)を所有・運転。現在、両サイトの発電所でチェコの電力需要の約40%をまかなう。ČEZ 2000年代末から燃料サプライヤーの多様化の取り組みを開始。2018年に開始された入札の結果、2022年、テメリン発電所向けの燃料集合体の供給契約をWE社および仏フラマトム社と締結した。また同年、エネルギー安全保障の強化を重視し、燃料の総備蓄量の増強方針を決定。2023年には、WE社とドコバニ発電所向けの燃料供給契約も締結し、今年内に最初の数十体の燃料集合体の搬入が開始される予定。なお、ドコバニ発電所向けの燃料供給契約については、フラマトム社とも交渉中である。

テメリン発電所では現在、専門家が燃料の重量確認、目視検査、書類のチェックを行っており、その後、燃料は貯蔵容器に収納される。WE社製の新燃料は2026年秋に1号機に装荷予定。装荷にあたっては、国家原子力安全局(SÚJB)からの許可取得が必要である。

新燃料は厳しい安全要件をクリアしなければならず、受入に先立ち5年間にわたる一連の分析と試験が行われた。WE社の燃料はより長い運転サイクルの要件を満たしており、ドコバニ発電所では16か月、テメリン発電所では18か月となる予定。ČEZはこれらの変更により、2030年以降、年間平均発電量が320kWhに達すると見込む。テメリン発電所では今年すでに72kWhを発電。ドコバニ発電所と合わせて最大のクリーン電源であり、ČEZの排出ゼロ発電に大きく貢献している。年間約2,000万トンのCO2の排出削減に匹敵するという。

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