原子力産業新聞

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イタリアとウズベキスタン 先進炉等で協カ

09 Jun 2025

桜井久子

MOU調印式典  © Ansaldo Energia

イタリア・ジェノバに拠点を置く、電力エンジニアリング会社のアンサルド・エネルギア(Ansaldo Energia)社は529日、ウズベキスタン原子力庁(ウザトム=Uzatom)と、先進的な原子力技術と小型モジュール炉 (SMR)の開発分野における協力を目的に、覚書を締結した。

本覚書は、イタリアのJ. メローニ首相、ウズベキスタンのS. ミルジヨーエフ大統領の立会いの下、アンサルド・エネルギア社のA. ベンベドゥティ上級副社長とウザトムのA. アフメドハジャエフ長官により調印された。

これにより両社は、次世代原子力発電所の設計と建設、放射性廃棄物管理、専門家育成プログラムなどの分野で戦略的に協力していく方針。特に世界市場を見据え、SMR開発に重点を置く考えだ。

アンサルド・エネルギア社は、傘下のアンサルド・ヌクレアーレ(Ansaldo Nucleare 社を通じて、第3世代ならびに第4世代炉、および核融合炉などの幅広い経験を活用し、原子力発電の専門能力の開発を共同で実施する。両国は、本協力の推進により、戦略的パートナーシップの強化を図り、経済成長と技術革新の促進に期待を寄せている。

なお、ウザトムは、ウズベキスタン・ジザク州で、ロシア国営原子力企業のロスアトム傘下にあるアトムストロイエクスポルト社(Atomstroyexport)との契約に基づき、合計出力33kWeSMR発電所の建設プロジェクトを進めている。プロジェクトは、舶用炉を陸上用に改良したPWR型SMRRITM-200N6基採用。設計運転年数は60年。初号機は2029年に運転開始、2033年までに段階的に全6基を稼働させる計画だ。ロシアにとってはSMRの初の海外輸出プロジェクトである。現在、建設プロジェクトは設計段階にあり、設計文書の作成、工学的調査が行われている。建設予定サイトでは、原子力施設の高い安全性確保のため、地震監視、航空気象、地下水文調査、水理学的調査を実施中。また、ウズベキスタン国内の天然ウラン資源を用いた原子燃料の製造可能性についても検討しており、ウズベキスタンはコスト効率を高め、国のエネルギー自立の強化をねらう。

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