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ブルガリア コズロドイ新設に米銀CITIが融資

29 Jul 2025

桜井久子

© Ministry of Energy of the Republic of Bulgaria

ブルガリアのZ. スタンコフ・エネルギー相は716日、米国ニューヨークを訪問。コズロドイ原子力発電所7-8号機の新設のため、米銀シティ(CITI)からの資金調達を勝ち取った

ブルガリアは、数十年ぶりとなる最大規模のエネルギー・プロジェクト実現に向けて、スタンコフ相が率いる代表団がCITI幹部と最終協議を行い、技術提案の詳細な精査と分析の後、新規建設の資金を確保するためのパートナーシップの合意に至った。

スタンコフ・エネルギー相は、「政府の最重要エネルギー・プロジェクトの実現に向け、CITIとの合意は極めて重要な前進。米ウェスチングハウス(WE)社製AP1000を採用するコズロドイ発電所の7-8号機の建設は、ブルガリアのエネルギー自立と長期的な安定を保証するものだ」と語った。また、代表団に参加した新規建設会社のKozloduy NPP – New Builds PLC =KNPP-NB社のP. イワノフ社長も「CITIの確かな専門性と強力なグローバルネットワークにより、将来世代に安全で持続可能、かつ手頃な価格のエネルギーを提供するための財政的枠組みの構築が可能になった」と述べた。

今回の契約により、CITIが輸出信用の単独コーディネーター兼主幹事を務める。中東欧において同銀最大の原子力融資案件となるというが、その規模は非公表。

スタンコフ大臣と会談した、CITIS. フリーデブルグ公共バンキング部門責任者は、「当社は、コズロドイの新設プロジェクトによる低炭素エネルギーソリューションの資金調達を先導し、その実現に向けて財政的専門知識を提供する」と語った。

ブルガリアは2007年に欧州連合(EU)に加盟した際、加盟条件として2006年までに安全上問題のあるコズロドイ14号機(各VVER-44044kW)をすべて閉鎖することになり、現在廃止措置中である。5-6号機(各VVER-1000104kW)の2基はそれぞれ1988年と1993年から運転を開始し、現在、同国の総発電量の約1/3を供給している。5-6号機とも、60年の運転期間延長を目指し、バックフィット作業を実施している。

2023年1月、ブルガリアの国民議会はコズロドイ発電所において、7-8号機としてAP1000×2基の新設をめざし、米政府と政府間協力協定の締結交渉を開始する方針案を可決した。これを受け、KNPP-NB社とWE社は、同年3月に新設計画に着手すべく共同作業グループ設置の協力覚書を締結。同年6月には、同覚書に基づき発電所の既存インフラや、ブルガリア産業界の現状等を評価し、詳細設計の予備的作業や建設工事の準備を進めていくために基本設計(FEED)契約を締結した。

ブルガリアと米国は、20242月にコズロドイ発電所の新設計画などを含むブルガリアの原子力プログラムの開発に協力する政府間協定を締結。同年11月には、KNPP-NB社とWE社、および主契約者に選定された韓国の現代E&C(現代建設)社はエンジニアリング・サービス契約を締結した。7号機は2035年、8号機は2037年に運開を目標としている。

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