原子力産業新聞

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ポーランド SMR建設サイトを決定

05 Sep 2025

桜井久子

BWRX-300の発電所完成予想図 © GVH

ポーランド最大手の石油精製企業オーレン社は8月28日、ポーランド初となる小型モジュール炉(SMR)として米GEベルノバ日立ニュークリアエナジー社製「BWRX-300」の初号機を、ブウォツワベク(Włocławek)に建設することでシントス・グリーン・エナジー(SGE)社と合意したことを明らかにした。オーレン社が管理する特別目的会社が、建設を担当するという。

2021年12月、米GE日立・ニュークリアエナジー(GEH)社、BWXTカナダ社、ポーランドの大手化学素材メーカーであるシントス社のグループ企業SGE社は、ポーランドにおける「BWRX-300」導入に係る協力について発表。同月、SGE社はオーレン社と合弁会社OSGE社の設立発表した。OSGE社は2030年にも「BWRX-300」初号機の完成を目指し、2023年4月、首都ワルシャワを除く国内6地点における合計24基のBWRX-300建設に関する原則決定(DIP)を気候環境省に申請し、同省は同年12月にこれら発電所に対するDIPを発給した。DIPは、原子力発電所建設プロジェクトに対する最初の基本的な行政判断で、DIP発給によりプロジェクトが正式に認められたことを意味する。同6地点は、北東部のオストロウェンカ(Ostrołęka)とブウォツワベク(Włocławek)、南部のスタビ・モノフスキエ(Stawy Monowskie)とドンブローヴァ・グルニチャ(Dąbrowa Górnicza)、ノバ・フタ(Nowa Huta)それぞれの近郊地点、タルノブジェク(Tarnobrzeg)の特別経済区。OSGE社はBWRX-300のポーランドでの独占使用権を保有しており、これら6地点は、BWRX-300をベースとしたSMR発電所を配備するためのさらなる地質調査を実施する最終候補地点となっていた。

OSGE社は今年2月、ポーランド環境保護総局(GDOŚ)から、オストロウェンカとブウォツワベクで計画している発電所建設に係る環境影響評価(EIA)の作成にあたり、取り組むべき分野について特定された。取り組むべき分野は、発電所立地の特殊性を考慮し、個々のプロジェクトごとに決定される。このGDOŚによる特定を受け、OSGE社は環境と立地の両面から調査を開始する。報告書作成には最大2年を要するとみられている。スタビ・モノフスキエで計画する発電所については、20242月にGDOŚから取り組むべき分野についてすでに特定されている。

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