米NRC フェルミ・アメリカのCOLAを受理
01 Oct 2025
米原子力規制委員会(NRC)は9月5日、フェルミ・アメリカ(Fermi America)社が申請した、ドナルド J. トランプ発電所に関する建設・運転一括認可申請(COLA)の最初の2部を受理した。同発電所には、米ウェスチングハウス(WE)社製の大型炉AP1000が4基導入される予定だ。
米テキサス州を拠点とするフェルミ・アメリカ社は、元米エネルギー省(DOE)長官で元テキサス州知事のR. ペリー氏が共同創設者に名を連ねるエネルギー開発会社。次世代人工知能(AI)に不可欠なギガワット(GW=100万kW)規模の電力網の構築をめざし、テキサス工科大学(TTU)システム[1]テキサス州にある州立大学群と提携。TTUシステムに世界最大の統合エネルギーとAIキャンパス「ドナルド J. トランプ大統領 先進エネルギー・インテリジェンス・キャンパス」(別名: プロジェクト・マタドール)を建設するプロジェクトを進めている。
同プロジェクトは、テキサス州アマリロ郊外の約2,335万m²の敷地に建設される、世界最大級の民間初の電力網キャンパス。AP1000×4基(400万kWe)のほか、SMR(200万kWe)、ガス火力複合発電所(400万kWe)、太陽光発電とバッテリーエネルギー貯蔵システム(100万kWe)を組み合わせ、計1,100万kWeの独立電力供給インフラを確保する。これに連携する形で大規模なハイパースケールAIデータセンターを段階的に導入し、既存の電力網よりも安定性の高いエネルギーキャンパスとして、次世代AI技術を支える特化システムを構築する狙いだ。
フェルミ・アメリカ社は今回受理されたCOLAの第1部を、6月17日に提出。一般的な情報や財務、環境に関するもので、続く8月20日に提出した第2部では、AP1000の標準設計を含む最終安全解析報告書の技術的部分(特定の建設予定地に依存しない章)や、その他の補足情報が含まれている。今後、第3部として、サイト固有の具体的な環境情報を2026年内に順次提出する予定。フェルミ・アメリカ社は今年8月、WE社とCOLA文書の完成と承認審査プロセスについて協力することで合意している。
なおNRCは、規制効率化の一環として国家環境政策法(NEPA)に基づき、従来、NRCが作成していた環境影響評価書(EIS)を申請者(フェルミ・アメリカ社)自身がその草案を作成するパイロットプログラムを進めている。NRCのスケジュールによると、草案の提出期限は2026年2月28日で、NRCは審査をさらに効率化するために必要なフィードバックや情報提供を行うとともに、適切な時期にNRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)に審理を求めるとしている。
さらにフェルミ・アメリカ社は9月5日、同プロジェクトに係る資金調達のため、米国証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)の登録届出書を提出した。同社はAP1000の1基あたりの建設期間を約5年と見込み、迅速な規制当局の承認と多額の資金調達により、AP1000の初号機を2032年に、後続機を2034年~2036年に順次稼働させたい考えだ。
脚注
↑1 | テキサス州にある州立大学群 |
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