原子力産業新聞

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南ア クバーグ2号機も60年運転へ

18 Nov 2025

佐藤敦子

クバーグ原子力発電所
©Eskom

南アフリカ国家原子力規制委員会(NNR)は116日、クバーグ原子力発電所2号機(PWR, 97kWe)の運転期間を20年延長し、2045119日までの運転を認可したと発表した。2号機は当初40年の運転期間を設定していたが、今回の延長により合計60年となる。昨年には1号機も20447月までの延長が認可されており、これに続く措置。両機の運転継続により、今後20年間にわたり約186kWeのベースロード電源が確保される。

NNRは今回の認可にあたり、安全評価や技術審査、設備更新の進捗状況を総合的に確認した。20259月末から10月初旬にかけて計3回の公開ヒアリングを開催し、地域住民の意見を含め幅広い観点を審査に反映した。2号機は延長に向けて蒸気発生器3基の交換や燃料交換などを実施して2024年末に送電網へ再接続されている。長期運転(LTO)を申請した国営電力会社エスコムの最高原子力責任者V.ントゥリ氏は、「延長は高度なスキルを持つ従業員と国内サプライチェーンの支えによる成果だ」と述べた

クバーグ発電所は1号機(運転開始1984年)、2号機(運転開始1985年)の総出力約194kWeを有する南アフリカ唯一の原子力発電所。同国は総発電電力量に占める石炭火力シェアが約80%と高い上、慢性的な電力不足や計画停電が続く中、既存原子力の活用は重要政策となっている。

南アフリカ政府は1019日に公表した統合資源計画(IRP2025で、原子力を「低炭素で費用対効果が高く、信頼性の高いベースロード電源」と評価し、2039年までに520kWeの原子力導入を目指す方針を示した。今回の2号機延長はIRP2025の新規導入枠には含まれないが、既存原子力の安全な継続運転を確実にする措置であり、新規原子力と両立する電源構成の基盤を形成する。政府は小型モジュール炉(SMR)導入の可能性も検討しており、原子力を中長期のエネルギー戦略の柱とする姿勢を明確にしている。

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