ブルガリアの新規大型炉 カナダ企業が協力
10 Dec 2025

ブルガリアのスタンコフ・エネルギー相と加オンタリオ州のレッチェ・エネルギー・鉱業相(中央)とコンソーシアム企業関係者© Ministry of Energy of the Republic of Bulgaria
ブルガリアのコズロドイ原子力発電所・新規建設会社(Kozloduy NPP–New Builds PLC=KNPP-NB)は12月2日、首都ソフィアで、ブルガリアのZ.スタンコフ・エネルギー相と加オンタリオ州のS. レッチェ・エネルギー・鉱業相の立会いの下、コズロドイ発電所7-8号機向けの新規建設プロジェクトに向けて、加企業3社のコンソーシアムと最長10年間にわたるオーナーズ・エンジニア契約を締結した。同プロジェクトでは、米ウェスチングハウス社製AP1000(PWR、125万kWe)×2基を建設する。
同コンソーシアムは、加ローレンティス・エナジー・パートナーズ(Laurentis)社、その子会社であるカナデ・ニュークリア・パートナーズ(CNPSA)社およびBWXTカナダ(BWXT)社から構成され、オーナーズ・エンジニア契約額は数億ユーロ規模とされる。
コンソーシアムは、コズロドイ・サイトにおける新規建設プロジェクトのすべての段階において、発注者であるプラントオーナーになり替わり、専門的な技術助言サービスとプロジェクト管理を行う。その作業は2段階のフェーズで構成。フェーズ1では、建設可能性のレビュー、初期プロジェクト計画、エンジニアリング、調達、建設交渉の準備など、最終投資決定(FID)前のフロントエンドサービスの活動に焦点を当てる。FID後のフェーズ2では、設計や建設管理、および試運転プロセスを通じて支援を行う。コンソーシアムはオーナーズ・エンジニアとして、技術的監視と厳格な安全および品質管理のバランスを取りつつ、プロジェクトがプラントオーナーの目的、安全基準、規制要件に沿って進展しているかを確認する。
スタンコフ大臣は、「コンソーシアム参加企業は、効率的に、期限内、予算内で作業できることをすでに証明している。彼らのノウハウは大きな可能性をもたらす」と指摘。加オンタリオ州のレッチェ大臣は、「オンタリオ州は、クリーンな原子力発電で世界的なリーダーシップを強化している。今回のパートナーシップにより、オンタリオ州はブルガリアの大規模な原子力拡大を支援し、信頼性の高い手頃な価格の電力供給を支援していく」と語った。両大臣は長年の原子力経験を持つ両国間協力の戦略的重要性を強調。新規建設プロジェクトにおけるパートナーシップが両国の経済にとり付加価値の連鎖を生み出すとの見解で一致した。
KNPP-NB社のP. イワノフ社長は、「カナダ企業のコンソーシアムを選択したのは、原子力プロジェクトを成功裏に実施した実績があるため。ブルガリアの専門家とエンジニアが少なくとも30%、請負業者としてプロジェクトに参画することを期待している」と述べた。
ローレンティス社は、オンタリオ州営電力であるオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社の100%子会社であり、CANDU炉をはじめとするプロジェクト管理、許認可、運転準備、運転員支援などで長年の経験とノウハウを有する。オーナーズ・エンジニアの専門知識は、炉型の種類を問わず活用可能とし、OPG社のダーリントン・サイトにおけるSMR「BWRX-300」建設プロジェクトも支援。欧州では、CNPSA社を通じて、ルーマニア国営原子力発電会社のニュークリアエレクトリカ(SNN)との枠組み合意に基づき、チェルナボーダ原子力発電所1号機改修プロジェクトのオーナーズ・エンジニアリングを実施している。BWXTカナダ社は、オンタリオ州にある原子力発電所の改修などの大規模プロジェクト支援の豊富な実績を有している。
KNPP-NB社は2024年11月、WE社ならびに韓国の現代E&C(現代建設)社とAP1000×2基に関するエンジニアリング・サービス契約を締結している。コズロドイ発電所7号機は2035年に、8号機は2037年に稼働を予定。




