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浜通り地域の国際教育研究拠点構想、2024年度本格開所を目指し議論大詰め

25 May 2020

福島浜通り地域の国際教育研究拠点に関する検討が現在、6月の取りまとめに向けて復興庁の有識者会議で進められている。

浜通り地域の新たな産業基盤構築を目指す「福島イノベーション・コースト構想」のもと、これまで「福島ロボットテストフィールド」(南相馬市・浪江町)などの拠点整備や産業集積が図られてきたが、今後同構想をさらに加速し産学官が連携し魅力ある浜通り地域を創出すべく、長期にわたり復興をリードしていく研究者・技術者の育成につなげようというもの。復興庁の有識者会議では、昨夏より大学・研究機関からのヒアリングや企業アンケートを実施し、国際教育研究拠点の目的・機能、運営体制、研究分野、地元産業との連携の仕組みについて整理を行っている。

例えば、東北大学は、廃炉、放射線医学、ロボット、環境・エネルギー、産業、災害科学の分野の研究を想定し、拠点内に分校「福島浜通り国際キャンパス」を設置することを提案し、国による長期的な予算措置を要望。お茶の水女子大学は、拠点の運営組織に、性差に配慮した研究・教育を推進することで新たな復興視点を導入する「女性活躍推進部門」や、減災を目指した次世代人材育成やリテラシーの向上を図る「減災・科学教育研究部」の設置を提案。他の研究拠点の例として、若年層の人口減少が続く中、人材育成と産業基盤づくりに向け山形県と庄内14市町村が核となり大学を誘致し進めている「鶴岡サイエンスパーク」プロジェクトが、海外の成功事例としては、放射能汚染からの環境浄化を契機に産業発展をとげた米国のハンフォード・サイトが紹介された。

5月15日の有識者会議で、座長を務める坂根正弘氏(コマツ顧問)は、「日本における究極の地方創生モデル」を目指すとの取組姿勢を示した。その上で、国際教育研究拠点が対象とする研究テーマや人員規模とともに、2023年春の一部開所、24年度の本格開所を目指し20年内を目途に立地地域を決定するとのスケジュール案を含め、最終報告取りまとめに向けた論点を整理。

これまでの有識者会議の議論を受け、福島県の内堀雅雄知事は、「浜通り地域には高等教育機関がない」と、避難指示区域となった市町村の現状を述べ、研究機能とともに、学位取得の仕組みなど、教育機能の重要性を強調している。

なお、最近の避難指示区域を巡る議論として、19日の衆議院震災復興特別委員会で、元復興相の自由民主党議員・根本匠氏が、帰還困難区域の将来像に関する質疑の中で、飯舘村村長が提案する復興公園整備構想を紹介し、土地利用に即した対応も考えていく必要性を指摘。同村では南端一部(長泥地区)に帰還困難区域が設定されている。これに関連し、内堀知事は25日の定例記者会見で、帰還困難区域の取扱いについて、「今正に国、県、市町村、関係機関も含め活発な議論がなされている」とした上で、今後自治体の意見を尊重しながら、「復興・創生期間」後(2021年度以降)の方向性が示されるよう国に対し要請していく考えを述べた。

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