蘭ゼーラント州 SMRの導入可能性調査結果を公表
21 Jan 2026
オランダ南西部のゼーラント州は1月8日、同地域への小型モジュール炉(SMR)の導入可能性を調査した報告書「SMR Zeeland 2050」を公表した。州政府の委託を受けて昨年12月に最終報告としてとりまとめられたもので、SMR導入のメリットを整理するとともに、実現に向けた政府の関与や支援の必要性を指摘している。
ゼーラント州はオランダ有数の工業集積地域であり、同国で唯一運転中のボルセラ原子力発電所(PWR、51.2万kW)が立地する。オランダ政府は、新規大型炉2基の建設構想についても、ゼーラント州のボルセラ・サイト周辺を有力候補地として検討しており、原子力を巡る議論が活発な地域となっている。
今回の報告書では、SMRを導入した場合のメリットとして、①地域での発電に加え、産業に必要な熱供給や水素製造用電源としての活用、②再生可能エネルギーを補完するベースロード電源としての機能、③脱炭素化の促進、などを挙げた。一方で、SMRは世界的に多様な設計案が存在するものの、本格的な商用導入は今後の課題としており、北米や欧州で進むプロジェクトの動向を踏まえつつ、導入の現実的な時期を2035~2040年ごろと想定している。
報告書は、州としての対応について、以下の3段階で準備を進めることを提言した。
- 2026~2027年: 公的・民間パートナーによる協力体制の構築、地域エネルギー戦略の見直し、候補地調査などの基盤整備。
- 2028~2029年: 技術検討やインフラ準備、許認可プロセスの整備、人材育成・教育体制の構築。
- 2030年以降: 外部プロジェクトとの協業や地域内での実装に向けた実行体制の整備。
地元企業については、SMR導入に一定の関心を示しているものの、単独でプロジェクトを主導する資金力やノウハウには限界があると指摘しており、州政府や国レベルでの政策支援が不可欠との見方を示した。
オランダ政府は、2021年12月に発足した連立政権が連立合意文書に原子力発電所の新設を明記するなど、原子力を段階的に縮小する従来の方針を転換し、新規大型原子炉の建設を巡る議論を進めている。2022年12月には、新設サイトとしてボルセラ・サイトが最適との見解を示した。政府は、2035年までに出力100万~165万kW級×2基を新設する計画で、最終的には最大4基の新設を検討している。
ゼーラント州では、国主導で進む大型原子炉の新設検討と並行して、SMRを将来の補完的な選択肢として位置づけており、地域の脱炭素戦略における多様な電源構成の一環として検討を進めている。





