原子力産業新聞

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nucleareuropeが行動計画 EUに制度見直し求める

28 Apr 2026

佐藤敦子

公表された報告書「Unleashing the Power of Nuclear」の表紙(nucleareurope公式Xより)

欧州各国の原子力協会17団体などで構成される欧州原子力産業協会(nucleareurope)は3月24日、EU域内での原子力導入拡大に向けた行動計画を発表し、EUに対し資金調達や規制のあり方を含む政策枠組みの見直しを求めた。EUが原子力をめぐる制度設計を進める中、業界側から具体的な見直しを求める踏み込んだ提言が示された。

今年3月に最終版が公表された欧州委員会(EC)の原子力実証プログラム(PINC)によると、加盟国が計画する原子炉の運転期間延長および新規大型炉の建設には、2050年までに約2,410億ユーロ(約38兆円)の投資が必要と試算されている。なお、小型モジュール炉(SMR)や先進モジュール炉(AMR)には追加的な投資が必要とされる。原子力発電設備容量は2025年の9,800万kWから2050年には1億900万kWへ増加する見通しだ。

このような巨額の投資需要を背景に、同行動計画では導入加速に向けた課題として、長期的な政策ビジョン、投資促進のための財政枠組み、規制手続きの迅速化、燃料サイクル、サプライチェーン―の5分野を提示した。

財政面では、原子力が他電源と同等に資金調達できる環境の整備を求め、EUの中長期財政枠組み(MFF)において、再生可能エネルギーと同等の扱いとする必要があるとした。また、長期契約への保証などによるリスク低減を通じ、民間投資の呼び込みを図る必要性を強調した。

規制面では、許認可手続きの長期化が新規建設の制約要因となっていると指摘。審査期間の短縮や手続きの合理化、加盟国間の制度の統一を求めた。さらに、供給安定性の観点から燃料サイクル全体への投資や、域内のサプライチェーンと人材基盤の維持・強化の必要性も示した。

nucleareuropeのE. ブルティン事務局長は「原子力プロジェクトを加速するには、今後20年にわたる多額の投資が欠かせない」と強調。EUの政策が投資を後押しするカギを握ると訴えた。

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