月面原子炉 2030年目標で開発へ NASAとDOEが合意
28 Jan 2026
米航空宇宙局(NASA)と米エネルギー省(DOE)は1月13日、月面原子炉の研究開発に向けた覚書(MOU)を締結し、2030年までの実現を目標に協力を進める方針を明確にした。2025年12月にはD. トランプ大統領がエネルギー・宇宙政策関連の大統領令に署名しており、今回の協力は、50年以上にわたる両機関の協力関係をさらに強化するものとなる。
宇宙探査ではこれまでも原子力が活用されてきた。放射性同位体熱電発電機(RTG)は、放射性同位体の自然崩壊で生じる熱を利用する電源で、1977年に打ち上げられたボイジャー1号・2号でも用いられ、現在に至るまで40年以上電力を供給している。一方、RTGは出力規模が小さく、人が長期滞在する拠点や大規模設備の運用には十分とは言えない。月では約2週間ごとに昼と夜が入れ替わるため、将来の長期滞在型のミッションでは日照条件に左右されない原子力による電力供給が重要になるとされ、今回のパートナーシップにより開発が加速するとみられる。
NASAのJ. アイザックマン長官は「人類の月への再訪と長期滞在、さらに火星やその先への探査には、原子力エネルギーの活用が不可欠だ」と述べた。DOEのC. ライト長官も、両機関の連携が技術的飛躍につながるとの認識を示した。
NASAが2025年12月に公表した月面における電力戦略に関する白書では、探査期間の延長や乗員数の増加に伴い、外部からの電力補強が不可欠になるとの見解が示された。月面電力システムは月探査にとどまらず、将来の火星探査への適用も視野に入る。火星においても、環境条件に左右されにくい電源の重要性が指摘されている。
またNASAは1月27日、原子力によるロケット推進エンジンの実用化に向け、実機と同規模の試験装置を用いた検証テストを完了したと発表した。原子炉の熱で推進剤を加熱し、噴射することで推力を得るこのエンジンについて、NASAは現在の化学ロケットに比べ、速度や持続性の面で利点があるとしている。エネルギー技術としての原子力が、宇宙開発をどのように支えていくのか、今後の技術開発と政策動向が注目される。





