原子力産業新聞

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経産相が南鳥島対象に文献調査申し入れ HLW最終処分地選定で国が前面に

03 Mar 2026

石井敬之

渋谷村長(右)に申し入れ文書を手渡す吉村統括調整官©経済産業省

赤澤亮正経済産業大臣は3月3日の閣議後会見で、高レベル放射性廃棄物(HLW)の最終処分に向け、東京都小笠原村の南鳥島を対象とした文献調査の実施を同日午後に申し入れると表明した。これを受け同日13時、資源エネルギー庁の吉村一元エネルギー・地域政策統括調整官が、父島において小笠原村の渋谷正昭村長に対し正式に申し入れを行った。

赤澤大臣は会見で、本年1月16日に全国の都道府県知事宛てに発出したレターに触れ、「地域任せにするのではなく、国の責任で地域に協力をお願いしていく」との方針を改めて強調。その具体的な対応として、南鳥島における文献調査を国から申し入れるに至ったと説明した。

南鳥島は、国が公表している科学的特性マップにおいて、地層処分にとって「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域」とされている。また、地上施設を設置し得る未利用地が存在すること、島全体が国有地であることなども判断材料とされた。大臣は「処分地選定調査は地域の理解なくして進めることは困難」と述べ、村民向け説明会を早期に開催し、丁寧な情報提供を行う考えを示した。

メディアからの質問に対し大臣は、南鳥島が長年にわたり国策に協力してきた地域である点にも言及し、最終処分の必要性や文献調査の内容について国から説明する必要があるとしたうえで、「小笠原村の皆様のご理解とご協力を得られるよう努めていく」と述べた。

申し入れを受け、渋谷村長は同日14時にコメントを発表。文献調査の申し入れ文書を受領したことを明らかにし、事前の相談段階で国およびNUMOに対し、最終処分の必要性や文献調査の内容について村民向け説明会を速やかに開催し、丁寧な説明を行うよう求めていたと説明した。

そのうえで、「説明会等における村民や村議会の意見などを踏まえながら判断」していくと強調し、調査受け入れの可否については今後慎重に判断する考えを示した。

最終処分事業の実施主体である原子力発電環境整備機構(NUMO)は、今回の国からの申し入れそのものについては「申し上げる立場にない」とした上で、「小笠原村で文献調査を受け入れていただけるよう、きめ細かい説明・対応を行う」との姿勢を示している。NUMOは今後、住民向け説明会を開催する予定で、3月14日に父島、15日に母島で実施する。文献調査は、既存の文献やデータに基づき地質環境の適性を評価する初期段階の調査であり、ボーリングなどの現地調査はいっさい行わない。調査の実施には、自治体の応募または国からの申し入れに対する受諾が前提となる。

南鳥島は東京都小笠原村の行政区域に属す日本最東端の島で、一般住民は居住していない。国が自ら文献調査を申し入れたことは、「国が責任を持って前面に立つ」とした方針を具体化する動きであり、処分地選定プロセスを次の段階へ進める試みとして位置付けられる。

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