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米DOE 既存炉活用による電力供給を拡大へ

23 Mar 2026

桜井久子

© US DOE

米エネルギー省(DOE)原子力局(NE)は312日、既存の原子力インフラを活用し、より多くの電力供給を目的とする新たなイニシアチブ「商用炉の段階的拡大に向けた取組み(Utility Power Reactor Incremental Scaling Effort: UPRISE)」を開始した。既存炉の出力増強、休止状態の原子炉の運転再開、停滞したプロジェクトの完遂を通し、2029年までに最大500kWeの設備容量を増強し、増大するエネルギー需要と国家のエネルギー安全保障を支えることをめざしている。

UPRISEでは、実証済みの原子力技術の活用と規制プロセスの合理化により、原子力発電の成長を加速させ、イノベーションの促進を計画。米国のエネルギー需要は、製造業の成長と人工知能を支えるデータセンターの電力需要により、今後数年間で増加が予測されている。トランプ政権は米国の原子力発電設備容量を2024年の1kWeから2050年までに4kWeへ拡大させることを目指しており、20255月に発出された大統領令「原子力産業基盤の再活性化」においては、DOEに2030年までに500kWeの原子力発電設備容量の増強と大型炉10基の着工を指示している。

UPRISEは、原子力発電設備容量を大幅に増加させるために最も費用対効果が高く、迅速な方法として、ライセンス更新による運転期間延長、出力増強、休止施設の運転再開、先進燃料などの最新技術による運転効率の最適化に焦点を当て、2027年までに250kWe2029年までに500kWeの原子力発電設備容量の増強を達成したい考えだ。

当面の取組みとして、サプライチェーンの準備状況の検証、出力増強や設備のアップグレードのためにプラント設備の評価を行い、投資判断に向けた経済モデルの検証を行うという。なお、この取組みにより、規制プロセスの効率化に向けた研究、燃料技術、および人材育成の取組みも支援し、将来の原子力導入の基盤としていく方針である。

DOEのR. バーラン次官補代理(原子炉担当)は「これは米国の原子力フリートの復活となるだろう。UPRISEを通じて、DOE2030年までに国内原子力発電を500kWe増強するという目標を達成すべく産業界と協力する」と語った。

2026年後半には、UPRISEを通じて、NE局と融資部門は、原子力発電所の所有者とエンドユーザー間の協同契約を促進するためのマッチメイキングワークショップを開催する予定。DOEの融資プログラムは、かつてアルビン・W・ボーグル原子力発電所34号機の建設を支援し、現在はパリセード原子力発電所とクレーン・クリーン・エナジー・センター(スリーマイル・アイランド原子力発電所)1号機の運転再開を支援している。DOEは自身のリソース、業界のノウハウ、規制改革を連携し、今後10年間で原子力発電設備容量を大幅に増加させていく方針である。

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