原文財団「原子力に関する世論調査」2025年度版を公表
25 Mar 2026
日本原子力文化財団(原文財団)は3月23日、2025年10月に実施した「原子力に関する世論調査」の結果を公表。原子力に対する肯定的評価は2018年度以降おおむね横ばいで推移している一方で、否定的イメージは2017年度以降、低下傾向が続いていることが分かった。また「信頼できない」との回答も減少し、福島第一原子力発電所事故前と同水準(12.0%)まで回復した。
同調査は、全国の15〜79歳の男女1200人を対象に実施。2006年度から同一手法で継続している全国規模の調査で、今回で19回目。世論調査を経年的・定点的に実施し、原子力に関する世論の動向や情報の受け手の意識を正確に把握し、原子力に関する知識普及活動のあり方などを検討するのが目的だ。エネルギー政策や社会動向の変化に対応するため、適宜新たな設問の追加や内容の見直しを行い、継続性と時勢の変化への対応の両立を図っている。
なお、原文財団のウェブサイトでは、2010年度以降の報告書データを全て公開している。
例年通り同調査は、原子力や放射線に対するイメージ、関心、情報保有量、信頼、再稼働や利用に対する考え方など多岐にわたる項目で構成されているが、今年度はいくつかの新設項目が追加された。具体的には、「今後の原子力発電の利用に対する考え」といった将来のエネルギー選択に関する設問や、「核燃料サイクル・バックエンドに関する情報保有量」など、より専門的な領域に踏み込んだ設問がその例で、最新の世論動向を的確に把握できる設計となった。
同調査によると2025年度に、最も関心が高かった原子力/エネルギー関連ニュースは「地球温暖化」で、70.3%に上った。
これに「電気料金の値上げ」(56.4%)、「自然災害による停電」(53.9%)、「電力不足」(48.3%)が続いた。さらに「巨大地震・津波と原子力」(37.8%)、「ロシア情勢などとエネルギー安定供給」(33.8%)、「再生可能エネルギー拡大の影響」(33.1%)といった項目が上位に並び、「暮らしに直接的に影響する可能性」が高いテーマとなった。
一方、原子力業界に関する個別テーマへの関心は相対的に低く、「女川原子力発電所の再稼働」が13.9%、「AI普及に伴う電力需要増加」が11.4%、「原子力発電所のリプレース」が10.8%、「第7次エネルギー基本計画」が4.5%にとどまった。
経年で見た場合、「暮らしに影響を与える身近なニュース」に対する関心は低下傾向にあるものの、生活に密接に関わるテーマへの関心の高さと、業界個別テーマとの間に乖離がある実態が浮き彫りとなった。
また、今後の原子力発電の利用に関する意識では、「使っていく」「どちらかといえば使っていく」を合わせた肯定的意見が42.0%、「やめていく」「どちらかといえばやめていく」を合わせた否定的意見が35.0%となり、肯定的意見がやや上回った。また、「わからない」は22.6%だった。
属性別では、男性で肯定的意見が多く、女性では否定的意見が多い傾向が見られた。年齢別では25〜44歳で肯定的意見が比較的高い一方、24歳以下では「わからない」とする回答が目立った。また、原子力に関する情報保有量が多い層ほど肯定的意見が多く、保有量が少ない層では「わからない」とする割合が高い傾向が確認されるなど、情報量の差が意識形成に影響を与えている実態が浮き彫りとなった。
また、経年変化では、再稼働に対する不安を背景とした否定的選択肢は減少傾向にあり、必要性や規制基準への適合といった観点から再稼働を評価する動きが増加しているが、「原子力発電をやめていく」とする層ほど、「災害対策」や「防災体制」、「大事故への不安」、「高レベル放射性廃棄物」、「福島第一原子力発電所の廃炉」といった項目に強い関心を示している。特に、高レベル放射性廃棄物への懸念が顕著となっていることがわかった。
これらの結果から、再稼働に対する理解を得るためには、不安や否定的認識に関わる項目に対する情報提供の充実が重要であることが示唆された。
原文財団では継続的な調査を通じて原子力を巡る社会認識の変化を把握し、今後の情報発信の在り方の検討に生かす考えだ。





