原子力産業新聞

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NUMO HLWの地層処分に関する村民説明会を父島 母島で開催

30 Mar 2026

中西康之助

文献調査の実施の議論が進む南鳥島 ©小笠原村

高レベル放射性廃棄物(HLW)の最終処分を巡り、経済産業省が東京都小笠原村の南鳥島を対象とする文献調査の実施を申し入れたことを受け、原子力発電環境整備機構(NUMO)では314日に同村の父島、21日に母島にて説明会を開催した。父島では237人、母島では71人が同説明会に参加。両会場とも多くの住民が出席し、関心の高さがうかがえる結果となった。

両日ともに、小笠原村の渋谷正昭村長、経済産業省資源エネルギー庁とNUMOの関係者らによる調査概要の説明の後、質疑応答を通じて村民から多くの意見や質問が寄せられた。村民からは、風評被害への懸念や処分地選定方法の疑問等が寄せられ、最終処分場の受け入れに慎重な姿勢を示す意見が複数挙がった一方で、同事業の受け入れに理解を示す声もあったという。

南鳥島は、国が公表している科学的特性マップにおいて、地層処分にとって「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域」とされている。南鳥島で文献調査が実施された場合、北海道寿都町、神恵内村、佐賀県玄海町に続き全国で4例目となる。

なお、NUMOWebサイトを更新し、同村民説明会の開催結果および村民から寄せられたアンケートへの回答を一般公開している。

父島・母島とも、処分地選定のあり方に対する疑問が寄せられた。

「科学的特性マップの数ある候補地の中から、なぜ南鳥島が国の申し入れ第1号となったのか」など、同地域への負担の偏りを懸念する意見や、南鳥島周辺で検討が進むレアアース開発との関係性や、同島の安全保障上の位置づけとの関連など、地域の将来像全体に関わる問いが寄せられた。

これに対し資源エネルギー庁とNUMOは、「南鳥島が地質的条件や土地利用の観点からHLWの最終処分地としての適性の可能性があることを踏まえ、渋谷村長と意見交換を重ねた。これに対し、村長から住民向け説明会の開催要請があり今回の申し入れに至った」と説明。処分地の数や規模については、「国として、ガラス固化体換算4万本以上のHLWを埋設できる施設を、まず全国で1か所整備する想定だ」と説明。現状のHLW量に対して最終処分地は1か所で対応可能としつつも、原子力発電の長期的な利用に伴う将来的なHLWの増加、今後の調査による地質条件の見通しを踏まえ、処分地の数や規模は、総合的に検討していく必要があると回答した。

そして、南鳥島周辺で進むレアアース等の開発・国防上の安全保障面との両立については、「文献調査段階では現地調査を伴わないため、直ちに影響が生じるものではない」と説明。今後、調査が進む場合には、資源開発、防衛・港湾整備などの諸活動との両立可能性を段階的に評価していく考えを示した。

その他、文献調査段階で交付金が支払われる仕組みに対し、「一度受け入れると後戻りしにくくなるのではないか」といった懸念や、「金額の問題ではなく、将来世代への影響をどう考えるかが重要」との指摘があった。

これに対し資源エネルギー庁とNUMOは「文献調査段階の交付金は、過去の関連施設立地の実績を踏まえて設定されている」とし、「交付金を受け入れたからといって最終処分地に決定するものではない」と理解を求めた。また、交付金は国の課題に向き合う地域への謝意と社会全体への利益還元という位置づけであるとした。

同説明会では、こうした多様な意見が示され、単なる賛否にとどまらず、村民の間で慎重かつ多角的に同事業について考えようとする姿勢が示された。主催者側(小笠原村・資源エネルギー庁・NUMO)は、こうした意見を真摯に受け止め、引き続き丁寧な説明と対話を重ねていくとしている。

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