原子力産業新聞

海外NEWS

ロシア BN-800 MA含有MOX燃料の試験運転完了

11 May 2026

桜井久子

© Beloyarsk NPP

ロシア国営原子力企業ロスアトムは422日、スヴェルドロフスク州ザレーチヌイにあるベロヤルスク原子力発電所4号機(高速炉BN-80088.5kWe)で、使用済み燃料中に含まれる長寿命核種のうち、特に放射性毒性の高いマイナーアクチノイド(MA)を含有したMOX燃料を商業炉で燃焼させる世界初の試験運転プログラムが成功裏に完了したことを明らかにした

MAとは、使用済み燃料中に生成される超ウラン元素のうち、プルトニウムを除いた元素群を指す。放射性毒性の強いMAであるアメリシウム241とネプツニウム237を含む試験用の燃料集合体3体が、2024年夏にBN-800の炉心に装荷され、約1年半にわたり、通常より短期間の3燃料サイクルで照射された。照射された集合体は、使用済み燃料プールで冷却後、照射後試験が実施される。

発電炉でのMAの燃焼処理は、第4世代の原子力技術ならびにクローズド・サイクルの重要な要素。ネプツニウム、アメリシウム、キュリウムは、使用済み燃料の質量に占める割合は小さいが、放射性毒性と残留熱放出に大きく寄与し、非常に長寿命(半減期は数十万年に達する)である。そのため、放射性廃棄物を環境から隔離すべき期間や処分条件に大きな影響を与える。ロスアトムは、クローズド・サイクルの一環として、使用済み燃料由来の回収ウラン、プルトニウムの利用実績はあるが、長期的には、MA燃焼処理により深地層処分を必要とする放射性廃棄物の量と種類を大幅に削減したい考え。特に、MAをより安定した、または短寿命の核種に変換する高速炉利用が最適としている。

ロスアトム燃料部門であるTVEL社のA. ウグリュモフ研究開発担当上級副社長によると、MA燃焼処理の産業規模への移行前に技術的可能性を実証するため、試験用MOX燃料集合体のMA含有量を増加させるほか、高速炉用のウラン・プルトニウム混合窒化物(MNUP)燃料へのMAの混合や、MAを別々の燃料棒または集合体に配置し、炉心の特定のゾーンに設置する燃焼試験も実施する計画であるという。

ベロヤルスク原子力発電所のY. ノソフ所長は、高速炉で燃焼後、燃料に含まれるMAの量は大幅に減少、最終処分が必要な放射性廃棄物の量を、数十分の1に低減できる可能性があり、照射後試験の結果は、MA燃焼技術の概念を実証し、燃料サイクルにおけるその役割と重要性を定義するものとなる、と指摘。第4世代炉は、使用済み燃料を貯蔵するのではなく利用することで、原子力の環境安全性とエネルギーポテンシャルの向上に貢献するとし、高速炉は約60年間の運転で約4トンのMAを処理できる見込みであり、軽水炉数基で生成される量よりも多い、と補足した。

cooperation