スイス連邦政府 既設原子炉の80年運転「技術的に可能」
21 May 2026
スイス連邦政府は5月13日、同国で運転中のゲスゲンおよびライプシュタット各原子力発電所について、最大80年間の長期運転が技術的に可能であり、大半のケースでは経済的にも成り立つとの報告書を採択した。連邦議会上院からの要請を受けて、連邦エネルギー庁(BFE)がとりまとめたもの。政府は現時点で、長期運転に対する財政支援は不要との見解も示した。
報告書では、両発電所を80年まで運転する場合に必要となる技術的改修費について、発電所あたり約7億~12億スイスフラン(約1,414億~2,424億円)と試算。現実的な電力価格やコストを前提とすれば、経済的に採算が取れる可能性が高いと指摘。一方で、原子力発電所の早期閉鎖や安全基準の強化など、政治的・規制上の不確実性はリスク要因であり、安定した規制環境や専門人材の維持が重要と指摘している。
また報告書は、既設原子力発電所の長期運転と再生可能エネルギーの拡大を組み合わせることで、冬季の電力輸入依存を低減し、供給安全性は大きく向上すると評価。再生可能エネルギーの拡大が十分に進まない場合には、原子力新設も将来の供給力確保の選択肢になりうるとしている。
スイスでは現在、4基の原子炉が運転中。ゲスゲン発電所はPWR単機、出力106.0万kWe、1979年11月に営業運転を開始している。ライプシュタット発電所はBWR単機、出力128.5万kWe、1984年12月に営業運転を開始している。
スイスでは、2011年の福島第一原子力発電所事故後、脱原子力の方針が示され、2018年施行の改正エネルギー法により原子炉の新設は禁止された。ただし、既設炉については、安全性が確保される限り運転継続が認められている。近年は、気候変動対策や電力需要の増加、冬季の供給不安を背景に、原子力をめぐる議論が再燃。政府は原子力発電所の新設禁止を原子力法から削除する改正法案を示しており、議会上院は今年3月にこれを可決、8月までに下院でも決議される見込み。





