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「原発事故による帰還困難区域を抱える町村の協議会」 避難指示全域解除のビジョン明示と復興支援強化を要望

25 May 2026

中西康之助

「原発事故による帰還困難区域を抱える町村の協議会」が、経済産業省の山田副大臣に要望書を手交

「原発事故による帰還困難区域を抱える町村の協議会」は520日、経済産業省の山田賢司副大臣(原子力災害現地対策本部長)と会談し、当該地域の復興政策の着実な推進に向けた要望書を手交した。要望書では、帰還困難区域が抱える課題の解決に向け、大きく2項目について国の対応を求めた。

同協議会の会長を務める双葉町の伊澤史朗町長は、山田副大臣に対し、経済産業省の職員らによる継続的な福島訪問に謝意を示した上で、「今なお長期避難を余儀なくされている住民がいる」と指摘。帰還を望む住民が一日も早く故郷へ戻ることができるよう、国の責任のもと全域の避難指示解除と地域の復興を前進させるよう求めた。

帰還困難区域は現在、7市町村(南相馬市、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、飯舘村)の一部に区域が設定されている。2017年の法改正に基づく「特定復興再生拠点区域」に加え、2023年には拠点区域外でも住民帰還を目指す「特定帰還居住区域」制度が創設。各市町村が策定する復興再生計画に基づき、除染やインフラ整備などが進められているが、同協議会は、全域の避難指示解除には今なお課題が残ると指摘。住民同士の分断や、帰還の見通しを示せない地域における土地・家屋の扱いなどを例に挙げ、「生活環境の整備、産業の再生、営農再開、企業立地の促進など、さらなる復興を進めるためには、引き続き国の力強い関与が必要だ」と訴え、要請書を提出するとともに、国の考えをただした。

要望書が定めた2項目は以下の通り。

 

①将来的な避難指示解除の工程明示等(特定復興再生拠点区域以外の帰還困難区域について)

②復興財源やインフラ支援の継続(原発事故による帰還困難区域を抱える町村の復興・再生について)

 

①について要望書では、特定帰還居住区域の避難指示解除や帰還困難区域全域の避難指示解除に向けた将来的なビジョンの明示を求めた。また、帰還困難区域内に残る土地・家屋の取り扱い方針の提示に加え、拠点区域外への立入規制緩和に伴う防犯対策の強化や住民への生活支援の継続を要請。さらに、帰還困難区域における森林の再生と活動自由化、除染土壌等の県外最終処分に向けた取組みの推進などを求めた。

に関する要望では、物価高騰や人件費上昇に伴う事業費増加を踏まえ、復興事業の停滞を招かないよう、柔軟かつ中長期的な財源確保を求めた。また、福島イノベーション・コースト構想の推進に加え、JR常磐線や常磐自動車道、主幹一般道などの基幹インフラについて、地域の実情やニーズを踏まえた機能強化への支援を要望した。このほか、地域間で偏りのない支援の実施や風評対策の強化、放射線量の測定および線量低減対策の継続なども求めた。

これに対し山田副大臣は、事故から15年にわたり住民に負担をかけていることについて改めて陳謝した上で、「福島第一原子力発電所の安全かつ着実な廃炉と福島の復興は経済産業省の最重要課題だ」と強調。「将来的に帰還困難区域全域の避難指示解除を実現し、復興・再生に責任を持って取り組む決意に揺らぎはない」と述べた。

その上で、「2020年代を通じて、帰還意向のある住民が皆、帰還できるよう全力で取り組む」と表明。「第3期復興・創生期間は福島復興に向けた正念場だ」との認識を示し、国として総力を挙げて復興施策を推進していく考えを示した。

なお、政府は2026年度からの5年間を「第3期復興・創生期間」と位置付けており、同期間における復興事業費として1.9兆円を見込んでいる。

また同協議会は同日、経済産業省のほか、復興庁、農林水産省、国土交通省、環境省などの関係省庁を訪問し、要望活動を実施。各省庁の担当者らと意見交換を行い、復興・再生に向けた課題認識を共有した。

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