WNA「世界原子力発電見通し」第2版公表 日本は「再始動国」に分類 問われる実行体制
09 Sep 2026
世界原子力協会(WNA)は9月7日、「世界原子力発電見通し」(World Nuclear Outlook Report)の第2版を発表。各国政府の目標や具体化している案件が実現し、既設炉の運転が継続すれば、2050年の世界の原子力発電設備容量は14.57億kWe(グロス)となるとの見通しを示した。COP28で打ち出された「原子力三倍化」目標(約12億kWe)を上回るとの結論は、今年1月の初版と変わらないが、第2版では各国が目標を実際に達成できるかを測る実行能力の評価が新たに加わった。
WNAは各国を「政策枠組みの整備状況」「制度・インフラの整備状況」「プロジェクト・プログラムの成熟度」「目標達成の見通し」の4基準で評価し、原子力開発の状況が近い国々を5類型に整理。 日本が分類されたのは、相当数の原子炉を運転し、成熟した制度を持ちながら、近年は継続的な建設が行われていない「リスターター」(Restarter、原子炉の建設能力を再構築する「再始動国」)で、ベルギー、オランダ、スウェーデン、ブラジル、南アフリカなど12か国が並ぶ。リスターター全体では、制度・インフラの整備状況は比較的高く評価される一方、関係機関の業務の重心は既設炉の運転継続に置かれており、規制機関が新型炉の設計審査に十分対応できる体制にない場合があると指摘している。こうした国々では、当面の設備容量の上積みは、運転期間延長や改修、出力増強、再稼働から生じる公算が大きいと分析。またWNAは、一基ごとの個別対応から、複数案件を継続して進める「プログラム型」の仕組みへの移行を優先課題に挙げた。資金調達だけでなく、許認可、サプライチェーンの整備、人材計画についても、後続案件に繰り返し適用できる枠組みが必要だとしている。
こうした課題がある一方、報告書は再始動国について、原子力開発に必要な制度的基盤の多くはすでに存在しており、見通しは明るいと評価。既存の産業・制度基盤と再び強まった政策支援を、継続的な原子力発電所の建設につなげられるかが鍵になると指摘した。これが実現すれば、2050年までに相当規模の原子力発電設備を追加できる可能性があるとしている。
また報告書によると、2025年の世界の原子力発電電力量は2兆7,020億kWhで過去最高を更新し、世界の総発電電力量の約9%を占めた。平均設備利用率も83.7%へ上昇し、原子炉の高経年化による全般的な低下は見られなかった。一方、着工は11基(中国9基、ロシア2基)と、過去40年でも高い水準だったが、三倍化には2030年代半ばまでに現状の約6倍の着工ペースが必要になると分析した。 2050年見通しのうち5.59億kWeは、建設中・計画中・提案中のいずれにも該当する具体的な案件をまだ伴っていない。
さらに報告書は、12分野の政策提言を示したうえで「目標はすでに掲げられている。今問われるのは、それを達成するための体制を築けるかどうかだ」と総括している。





