欧州投資銀行 フィンランドのSMR開発に初融資
29 Sep 2026
欧州投資銀行(EIB)は9月15日、フィンランドを拠点とするスタートアップ企業ステディ・エナジー社に最大4,000万ユーロを融資することを明らかにした。この融資により、同社は熱供給専用のSMR「LDR-50」(PWR, 5万kWth)の開発を加速させる。EIBにとって、小型モジュール炉(SMR)プロジェクトへの初融資となる。欧州のクリーンエネルギーイノベーションや競争力、エネルギー安全保障の強化に向けたEIBの取組みの一環であり、2030年代初めまでに欧州初のSMRを稼働させるという欧州委員会の戦略を支援する。
EIBは欧州連合(EU)の政策金融機関で、世界最大級の多国間開発銀行の一つ。今回の融資には、イノベーションとグリーン・トランジションへの投資を支援するEUの「InvestEU」プログラムによる支援が活用されている。過去には加盟国間の原子力に関する意見の相違から、新規原子力プロジェクトへの資金提供は事実上、制限されてきたが、2025年にはルーマニアのチェルナボーダ原子力発電所1号機(CANDU-6, 70.6万kW)の改修プロジェクトに8億ユーロ、フランス南部のジョルジュ・ベスII濃縮プラント拡張プロジェクトに4億ユーロを融資している。
LDR-50は、地域熱供給ネットワークに低炭素の熱を供給するよう設計されている。実績のある既存の軽水炉技術を基盤に、受動的安全機能とシンプルな設計を組合せた地下設置型。エスプレッソマシン並みの安全な低圧設計で、熱を電気に変換する必要がなく、生産した熱のほぼ100%を地域暖房システムに直接供給できる。設計の簡素化により、設備投資や生産コストの削減も図られている。また、EUの最終エネルギー需要のほぼ4割が冷暖房向けで、その大部分を化石燃料に依存していることから、LDR-50の導入による輸入燃料への依存低減が期待されている。
ステディ社は2023年、フィンランド国営のVTT技術研究センターからスピンアウトして設立された。現在、ヘルシンキの旧サルミサーリ石炭火力発電所サイトに実証用パイロット施設(燃料装荷なし)を建設中。同施設では、主要な安全システムの動作実証や、商業展開前の技術試験、認可取得に必要な検証などを行う。EIBの融資は、2026年~2028年にかけて実施されるこれらの活動を支え、商業化を後押しする。
EIBのK. ネハンマー副総裁は、「我々は、欧州で有望なSMR先駆者を積極的に支援していく。SMRは再生可能エネルギーと併せて安定的で低炭素なエネルギーを供給し、化石燃料への依存やエネルギー価格の変動リスクを低減するとともに、より安全で強靭な欧州のエネルギーミックスの構築に寄与できる」と述べた。




