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米韓両国の戦略的投資計画 米国内で大型炉8基建設の枠組み合意

02 Oct 2026

桜井久子

AP1000  © Westinghouse Electric Company

米韓両政府は9月30日、2025年7月の「貿易合意(関税合意)」および同年11月に締結した「戦略的投資覚書」に基づくフォローアップ措置として、エネルギー分野でテキサス州のガス複合火力発電プロジェクト、原子力発電プロジェクト、アラスカLNGプロジェクトの3案件を計画し、韓国が総額2,000億ドル規模の対米投資を行うと発表した。このうち、原子力発電プロジェクトでは、最大1,200億ドルを投じ、米国のベースロード電源の拡大とエネルギー安全保障の強化に向けて、大型炉8基を建設する包括的な協力枠組みに合意した。

今回の投資計画は、エネルギーを含む戦略的産業分野における両国の協力を強化し、安定的で強靭なサプライチェーンを構築することが目的。原子力発電プロジェクトについては、2025年5月に発令された米大統領令が掲げる2030年までに大型炉10基の新設に着手する目標をふまえ、米国の原子力技術・市場と、韓国の原子力発電所の建設能力やサプライチェーンを組合わせ、両国企業の協力拡大を図る。

原子力分野への投資額は最大1,200億ドルで、このうち約1,000億ドルを建設費、200億ドルを予備費に充てる。2基あたり最大300億ドル(建設費250億ドルと予備費50億ドル)を想定。対象となるのは、米ウェスチングハウス(WE)社製AP1000×6基と韓国製APR1400×2基。両国政府に加え、WE社、韓国電力公社(KEPCO)、韓国水力原子力(KHNP)が協力枠組みに参加する。

韓国政府は今回の枠組み合意について、APR1000の米国市場への進出に道を拓く重要な成果として位置付けている。WE社と韓国企業が2025年1月に締結した和解合意によりAPR1400の米国市場への進出は困難とされていたが、韓国政府によると米国側との厳しい交渉の結果、APR1400×2基を建設する枠組みが盛り込まれた。韓国企業にとっては、米国におけるAP1000の建設やサプライチェーンへの参画機会の拡大に加え、将来的には欧州などの第三国市場への共同進出の可能性や、韓国製炉への信頼度向上および受注可能性にも期待を寄せている。

建設は段階的に進める構想で、まずAP1000を2基、その後APR1400とAP1000を各2基、最後にAP1000を2基建設する計画である。なお原子炉圧力容器、蒸気発生器、原子炉冷却材ポンプなど、製造に時間を要する長納期機器を確保するため、関連する米国内法の要件を満たすことを前提に、韓国側が2026年末までに最大100億ドルを先行払いする案についても協議。また両政府・企業は、原子力プラントの建設による利益を両国で共有するため、韓国企業によるWE社の少数株式取得についても検討されており、詳細な条件については、今後の企業間交渉で決定する。

今回の合意は大枠での協力を定めたものであり、具体的に原子力事業が決定されているわけではない。両国政府はこの枠組みに基づき、建設サイトや事業体制、建設スケジュールなど事業毎に具体化し、採算性の評価や必要な国会手続きなどを経て、最終的に各プロジェクトの実施を判断する。

H. ラトニック米商務長官は9月30日、ホワイトハウスで記者団に対し、大型炉8基の建設予定地として、オハイオ州、テネシー州、サウスカロライナ州、ケンタッキー州の4州を挙げている。

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