原子力産業新聞

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NUMOが地層処分に関する授業研究で全国研修会、12件の実践事例報告

22 Apr 2022

挨拶に立つNUMO近藤理事長、「地層処分は長期に及ぶので次世代層に考えてもらうことが重要」と(ZOOM撮影)

原子力発電環境整備機構(NUMO)は、高レベル放射性廃棄物の地層処分の理解に向けた出前授業や教育関係者向けの授業プラン支援などの取組を通じ、次世代層への関心喚起に努めている。最近では、SDGsをテーマとした探求的な学習の題材としても注目されていることから、ESD(持続可能な開発のための教育)の観点で教育課程と地層処分との関連性を啓発する動画をウェブ上に公開。同ウェブには、小中学生向けのボードゲーム教材やモデル授業指導案の動画解説なども掲載されている。

こうした状況下、NUMOは、全国各地で行われている地層処分に係る授業・教材研究の取組を教育関係者が共有すべく、「高レベル放射性廃棄物の処分問題を授業でどう取り上げるか」をテーマとする全国研修会を3月6日に都内の日本科学未来館で開催(オンライン配信併用)。全国のエネルギー・環境教育の研究団体から12件の研究・実践報告が披露された。

高レベル放射性廃棄物に関する生徒へのアンケート結果、処分地を「北海道とするか」「札幌とするか」で回答に大きく差が生じた(白石中・森山氏発表資料より引用)

北海道大学エネルギー教育研究会からは、札幌市立白石中学校教諭の森山正樹氏が3年理科「エネルギー資源とその利用」での授業実践例を発表。計10時間構成の授業の中で、日本のエネルギー事情を踏まえた発電方法ごとの「S+3E」(安全、安定供給、経済効率性、環境への適合)、2018年に発生した北海道内の全域停電、10年後の北海道の電源構成他について、生徒自身で考えさせるもので、「正解のない問題に対峙する資質・能力を育成するために、エネルギー・環境問題を扱うことは有効だった」と、成果を強調。一方で、「まずは教師がしっかり学ばねばならず、ハードルは高い」とも述べ、授業で地層処分について扱うには多くの課題があることを示唆した。森山氏は、授業の中で生徒に対し実施したアンケートについても紹介。「生活で生じたゴミは自分たちで処理すべきだ」との問いに対し94%の生徒が「そう思う」と回答したが、「北海道で高レベル放射性廃棄物を処分するとしたらどう思うか」、「札幌で高レベル放射性廃棄物を処分するとしたらどう思うか」との問いに対し、「賛成」との回答はそれぞれ29.2%、8.5%となっており、アンケート結果を通じ、同氏は「NIMBY」(Not in My Back Yard)の問題についても生徒に考えさせている。

学生参加の琉球大・赤嶺さん(ZOOM撮影)

沖縄エネルギー環境教育研究会からは、琉球大学教育学部学生の赤嶺優奈さんが中学校理科向けの学習指導案「沖縄特有の粘土を用いた実験と地層の働きから地層処分を考える」を紹介。沖縄北部の土壌「国頭マージ」(赤土)、同中南部の土壌「ジャーガル」(泥土)などを用いて吸水性を比較する実験を行い、人口バリアとしてガラス固化体を隔離し閉じ込める粘土(緩衝材)の働きを理解させるのがねらいだ。

九州地区エネルギー環境教育実践研究会からは、大分市立大在小学校教諭の古澤拓也氏が「エネルギー環境教育を通して『バランス感覚』の育成を目指す」実践事例(6年理科)を紹介。火力、風力、水力、太陽光、原子力、地熱の各発電方法のメリット・デメリットについて生徒たちに考えさせたとしており、参加者からは、教科を越えた学校全体による連携の必要性を指摘する意見や、温泉地帯で知られる地元の地熱発電に対する理解に関して質問があった。

今回の研修会では4つのセッションに分かれ報告が行われた。セッションのコーディネーターを務めた常葉大学副学長の安藤雅之氏は、「授業に係る大人に%A

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