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環境白書、放射線影響に係るリスコミ「ぐぐるプロジェクト」紹介

14 Jun 2022

「ぐぐるプロジェクト」のロゴマーク(環境省ホームページより引用)

2022年版環境白書が6月7日に閣議決定された。環境省が2021年度に講じた環境保全に係る施策について取りまとめたもの。その中で、東日本大震災・福島第一原子力発電所事故からの復興・再生に向けた取組として推進している放射線影響に係るリスクコミュニケーション「ぐぐるプロジェクト」が取り上げられている。

事故後の健康影響について、今回の白書では、UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)による「放射線被ばくが直接の原因となるような将来的な健康影響は見られそうにない」、福島県の県民健康調査検討委員会による「現時点において本格検査(2回目検査)に発見された甲状腺がんと放射線被ばくの間の関連は認められない」との評価を明記。その上で、「放射線の健康影響に係る正しい科学的知見が届かないことにより、不安や風評が生じ、これが差別偏見につながっていく怖れがある」と、課題を提起している。

こうした背景から、「ぐぐるプロジェクト」は、「学び・知をつむ“ぐ”」、「人・町・組織をつな“ぐ”」、「自分ごととしてつたわ“る”」ことにより、放射線の健康影響に関する情報を読み解く力と風評に惑わされない適正な判断力を身に付ける場を創出すべく、2021年7月に立ち上げられた。同プロジェクトは現在、「知る」、「学ぶ」、「決める」、「聴く」、「調べる」の5つの活動を展開しており、その詳細については特設サイトで見ることができる。

「ラジエーションカレッジ」では、放射線の健康影響に関する誤った認識により結婚を反対する両親を子供が説得する短編ドラマも作成(環境省ホームページより引用)

「学ぶ」活動の一つとして、2021年度は、全国の大学生らを対象にプレゼン作品を募集し優秀作を表彰する「ラジエーションカレッジ」が行われた。「ラジエーションカレッジ」では、1,300人以上の学生がセミナーなどに参加しており(2022年2月末時点)、今後は社会人を対象とした職域公開講座も開催し、風評払拭に向けて発信対象を広げていく予定だ。

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