原子力産業新聞

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原子力関連法案が衆院で可決

28 Apr 2023

原子力関連法案の可決を受け一礼する西村経産相(インターネット中継)

「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」が4月27日、衆議院本会議で賛成多数により可決された。

同法案は、3月30日に衆院本会議で審議入りし、経済産業委員会に付託。計6回の会合、および環境委員会と原子力問題調査特別委員会との連合審査会が行われた。〈既報〉原子力関連では、高経年化した原子炉に対する規制の厳格化に関し原子力規制委員会が答弁に立つなど、運転期間の見直しが焦点となったほか、次世代革新炉の開発・建設や海外展開の観点から、日本企業の技術基盤強化や人材確保に関しても活発な議論がなされている。

30日の本会議で、西村康稔経済産業相による法案趣旨説明の後、質問に立った浅野哲議員(国民民主党)は、日本原子力産業協会による「原子力発電に係る産業動向調査2022(2021年度調査)」を引用し、「現場作業者の60%が運転停止期間の長期化によって技術の維持・伝承ができないと感じており、そのうち84%がOJT機会の喪失をその理由としてあげている。国内企業では原子力事業から撤退する企業も生じており状況は深刻」と、産業基盤の維持・強化に係る危機感を強調。これに対し、西村経産相は、3月6日に設立された原子力関連企業を支援する枠組み「原子力サプライチェーンプラットフォーム」(NSCP)を通じた取組に言及しながら答弁。「研究開発や技能実習、技術・技能の承継などをサポートする支援メニューを全国400社の原子力関連企業に展開している。今後ともサプライチェーンの維持・強化に向けた支援をしっかりと進めていく」と説明。また、4月26日の経済産業委員会では、「G7においても、米国、カナダ、英国、フランスといった国々と、サプライチェーンの維持・確保、人材育成などについても連携していく」などと述べ、同15、16日に行われた「G7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合」の成果を強調した。

エネルギー政策に係る重要法案として、参議院では、4月28日に、「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案」が修正議決された。今後は「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」の審議に焦点が移りそうだ。

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