原子力産業新聞

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飯舘村の避難指示が一部解除

02 May 2023

避難指示区域の概念図(資源エネルギー庁発表資料より引用)

福島県飯舘村に設定されていた避難指示の一部が、5月1日午前10時をもって解除された。帰還困難区域のうち、避難指示を先行して解除し居住を可能とすることにより復興・再生の推進を図る「特定復興再生拠点区域」(復興拠点)として設定された約186haの地域と、それ以外の一部地域が該当。復興拠点として、県内6町村・計約2,800 haの地域が国により認定されていたが、今回、そのすべてで避難指示が解除となった(富岡町の一部を除く)。

飯舘村で避難指示が解除された長泥地区では、除染に伴い発生する除去土壌の減容・再生利用に向けた実証事業が行われている。村内の仮置場などに保管されている除去土壌を再生資源化し農地を造成する取組で、これまでに、カブ、キュウリ、ズッキーニ、レタスなどの食用作物や花き類を栽培。収穫した食用作物は、十分な生育状況とともに、放射性セシウム濃度が基準値を大きく下回っていることが確認されている。

飯舘村の避難指示解除は4月25日、政府の原子力災害対策本部で決定された。福島県の内堀雅雄知事は、5月1日午後の定例記者会見で、「帰還困難区域全体の復興・再生に向けた大きな前進となる」と、その意義を改めて強調。今後、復興拠点以外の帰還困難区域の避難指示解除に向けても、「各自治体で帰還意向の調査が進められている。除染の範囲、帰還しない住民の家屋をどうするかなど、課題を解決しながら、国・県・市町村が一体となって方向性をしっかりと整備していく」と述べ、県として全力で取り組んでいく考えを示した。

また、折しも大相撲五月場所の番付発表となった同日、福島県出身の若元春関の新関脇昇進について所感を問われたのに対し、内堀知事は、「一番一番ベストを尽くして活躍する姿は、復興・創生に向かって歩みを進めるわれわれ福島県民を大いに勇気づけている」と喜びをあらわにした。「大波三兄弟」力士として知られる若元春関は、一月場所の小結昇進後、2場所連続勝越しの好成績をあげている。

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