原子力産業新聞

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放射線施設の解体に水素利用新工法

12 May 2023

マスカットH工法の施工状況(戸田建設発表資料より引用)

戸田建設は5月11日、建物の解体時、水素を利用し環境負荷の低減を図る「マスカットH工法」を、放射線施設の解体工事に適用したと発表した。〈戸田建設発表資料は こちら

同工法は、現在、東京都中央区内で計画する新社屋「TODA BUILDING」(地上28階・約165m、2024年9月しゅん工予定)開発プロジェクトに伴う解体工事で適用実績のある「マスカット工法」を改良したもの。コンクリート構造物の解体作業時における現場周辺の環境振動への配慮に加え、水素のみを可燃性ガスに使用することでCO2を発生せず、建設業界における温室効果ガス排出量低減にもつながるのが特長だ。

切り出された遮蔽鋼板、従来工法では150mm厚の切断が限界だった(戸田建設発表資料より引用)

戸田建設では、新たな「マスカットH工法」を解体工事に適用し、厚さ1m以上の鉄筋コンクリート部材の切断など、実績を積み重ねてきたが、このほど、病院併設の放射線施設に初めて適用。これまで、放射線施設の解体工事では、遮蔽鋼板やコンクリートで堅牢な躯体が構築されているため、騒音、振動、粉塵の発生の他、一般的な建設現場で使用するガス切断設備では極厚の複数鋼板を一度に切断できず、プロパンガスなどの使用によるCO2排出の課題があった。同社では、今回、新工法を適用した施設の詳細は明らかにしていないが、「周辺に人通りの多い商業施設や閑静な住宅地がある」としており、近隣環境への影響低減に十分な効果が得られたという。

「マスカットH工法」は、振動による落盤事故リスク、粉塵発生に伴う排気設備設置に制約のあるトンネル工事にも適用され、作業工程の短縮にもつながっており、同社では、今後も困難な解体作業を抱えている様々な現場に積極的に適用し、建設工事における水素エネルギーの利用拡大、脱炭素社会の実現に貢献したいとしている。

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