原子力産業新聞

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福井県 クリアランスビジネスの本格化を目指す

05 Aug 2025

中西 康之助

クリアランス金属を使用したベンチ

クリアランス事業の運営管理を手掛ける新会社「福井県原子力リサイクルビジネス準備株式会社」が81日、福井県敦賀市で設立された。同社には、福井県や嶺南6市町、関西電力、日本原電、福井銀行、敦賀信用金庫、小浜信用金庫らが総額20億円を出資。代表取締役社長には来馬克美氏が就任した。

原子力発電所の解体等に伴って発生した廃棄物の中で、放射能レベルが極めて低い金属(クリアランス金属)のリサイクルビジネスの確立が主たる目的で、これら廃棄物を活用するクリアランス制度の理解促進を図る狙いもある。

福井県ではすでに同制度の理解促進活動が活発に行われ、これらクリアランス製品を公共施設に設置する活動(福井大学内のベンチ、若狭サイクリングルートのサイクルラック、福井南高校の防犯灯など)を行ってきた。

これらの活動は、原子力や再エネ事業を活用し、嶺南地域経済の活性化を図る嶺南Eコースト計画(2020年に県が策定)の一部に位置づけられ、経済産業省の委託事業等を活用しながら、原子力発電所外でのクリアランス製品の活用を今後も進めていく。

同社は、敦賀半島を候補地にクリアランス金属の集中処理施設を建設し、回収した金属を処理して一般用金属として販売する予定だ。国内でクリアランス金属のリサイクルを専門に行う会社は他にない。

今後、集中処理施設の詳細設計や地質調査を行い、2027年頃には原子力規制委員会に事業許可を申請し、2030年代初めの操業開始を目指す。同施設の処理見込み量は20年間で4万トン、利益は約50億円(20年間)を見込んでいる。

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