原子力産業新聞

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ムロオシステムズ カザフ国立原子力センターと協力枠組み

24 Dec 2025

佐藤敦子

締結式で覚書を交わす
カザフスタン国立原子力センター(NNC)所長の
バトゥルベコフ・エルラン氏(左)、
ムロオシステムズの潘忠信社長(右)

ムロオシステムズ(東京都中央区)は1219日、カザフスタン国立原子力センター(NNC)と、使用済み燃料および放射性廃棄物管理分野での協力枠組みに関する覚書(MOU)を締結した。MOUは、1219日から2日間にわたって開催された「中央アジア+日本」対話・首脳会合に合わせ締結された。

NNCは、カザフスタンにおける原子力利用に関する研究や人材育成を担っており、今回のMOUでは、廃棄物の管理手法や関連施設の運用などに関する情報交換や技術協力を盛り込んだ。主に放射性廃棄物処理センターの運営や廃止措置に関するノウハウ提供などを想定している。技術的な実施や専門的支援については、ムロオシステムズの完全子会社であるNUKEM社が担う。

ムロオシステムズは昨年10月、NUKEM社を買収NUKEM社は、放射性廃棄物管理や使用済み燃料対策、廃止措置などを手がけ、ドイツで初めて商業用原子力発電所の廃止措置を成功させた実績を有する。ムロオシステムズがデータセンター事業などを展開する中で、安定かつ安価な電力供給が可能な原子力に関心を持ち、原子力分野への進出を決断したという。

カザフスタンでは将来的な原子力利用をめぐる検討が進んでおり、旧ソ連からの独立後初となる原子力発電所の建設計画も進められている。ムロオシステムズの潘忠信社長は、「カザフスタンは世界最大級のウラン産出国であり、日本も多くのウラン資源を輸入している。同国に原子力発電やバックエンド分野が整えば、一国で完結した燃料サイクルを構築できる可能性があり、周辺国を含めた原子力エネルギーのハブとしての役割も期待できる」との認識を示した。

このほかムロオシステムズは同日、ウズベキスタン原子力規制庁(Uzatom)および同国デジタル技術省ともMOUを締結した。原子力安全や規制対応などに対する技術的助言やエンジニアリング、コンサルティングを協力内容とし、小型モジュール炉(SMR)の電力を活用したデータセンター構想についても検討対象としている。原子力分野とITを組み合わせた国際展開を通じ、同社は中央アジア地域での存在感を強めたい考えだ。

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