原子力産業新聞

国内NEWS

女川オフサイトセンターが震災後9年を経て再建

04 Mar 2020

再建された女川オフサイトセンター(内閣府発表資料より引用)

内閣府(原子力防災)は3月4日の原子力規制委員会定例会合で、東北電力女川原子力発電所に係るオフサイトセンターの概要を説明し同委に意見を求めた。

オフサイトセンターは、原子力災害発生時に現地対策本部が設置され、国、地方自治体、事業者、関係機関が参集し、モニタリング、被ばく医療、避難、住民への情報発信などを指揮する拠点となるものだが、女川オフサイトセンターは東日本大震災に伴う津波で壊滅的な被害を受け使用不能となったため、発電所から約53km離れた仙台市内の旧消防学校校舎を暫定的に使用してきた。

津波で崩壊した旧女川オフサイトセンター(内閣府発表資料より引用)

内閣府では2017~18年度、女川オフサイトセンターの再建事業として総額27億円を計上し宮城県に費用を交付。このほど、発電所の北西約7km、海抜約39mの地点に、免震構造3階建ての鉄筋コンクリート建屋が完成した。TV会議システム、電話・FAX装置、統合原子力防災ネットワークなど、所要の通信設備、合同対策協議会や報道対応に供する各種スペースを備えているほか、隣接する学校のグラウンドに大型ヘリの離発着が可能。また、複合災害に備え、仙台市と大崎市の発電所からそれぞれ約54km、約49kmの地点に2か所の代替オフサイトセンターが指定されている。

内閣府の説明を受け、地震・津波関連の審査を担当する石渡明委員は、発電所周辺の道路が急峻で蛇行していることを踏まえ、「複数のルートを確保しておくことが大事」と強調。さらに更田豊志委員長は、今後のオフサイトセンター整備に関し、「県庁からの距離が、島根発電所のように近い場合もあるし、女川発電所のように遠い場合もある」などと地域特性をあげた上で、自治体の機能についても合わせて検討する必要性を指摘した。

新たな女川オフサイトセンターは、3月2日より暫定運用を開始しているが、今回の原子力規制委員会への意見照会を踏まえ、近く正式に政府より指定を受ける運び。

cooperation