原子力産業新聞

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関西電力 高浜発電所でMOX利用継続へ

18 Nov 2025

中西 康之助

高浜発電所 ©関西電力

MOX燃料を搭載した輸送船「パシフィック・ヘロン号」が1117日、フランスから福井県の高浜発電所に到着した。輸送船は、97日にフランス北西部シェルブール港を出発し、喜望峰・南西太平洋ルートを経由し約2か月かけて到着した。

関西電力によると、MOX燃料32体を積載した輸送船は17日早朝に接岸し、午前10時すぎに荷下ろしを開始。同日18時半ごろまでに、全作業工程を完了したという。同発電所へのMOX燃料輸送は、202211月以来で、累計7回目となる。燃料は仏オラノ社が加工したもの。

使用された輸送容器は、長さ約6.2m、外径約2.5m、重量約108トンの炭素鋼製円筒容器。輸送船には自動衝突予防装置や二重船殻構造の採用、緊急時の通報体制整備など、多重的な安全対策が施されている。また、同社が実施した輸送容器の放射線量測定では、表面線量は0.03mSv/h、表面から1m地点でも0.008mSv/h以下と、いずれも国の基準値を大幅に下回った。表面汚染密度についても基準値の半分以下で、同社は「法令の基準値を満足していることを確認した」としている。

MOX燃料とは、使用済み燃料から再処理で取り出したプルトニウムをウランと混合して製造する燃料。

関西電力では、使用済みのMOX燃料の再処理実証に向け、202729年度に使用済み燃料約200トンをフランスへ搬出する計画も進めている(既報)。

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