新潟県 柏崎刈羽6、7号機の再稼働を容認へ
25 Nov 2025
新潟県の花角英世知事は11月21日の記者会見で、柏崎刈羽原子力発電所6、7号機(ABWR、135.6万kWe×2基)の再稼働に同意する意向を表明した。判断は12月の新潟県議会に諮った上で、国へ正式に報告する。
知事は同意の前提として、国に対して次の7項目を確実に対応し、責任を持って確約するよう求めた。
国へ求めた7項目
①県民への丁寧な説明の徹底
原子力の必要性・安全性について、取り組み内容が県民に十分伝わっていないとの意識調査結果を踏まえ、国と東京電力に対し改めて丁寧な説明を要請。
②新たな知見に基づく安全性の再確認
最新知見が得られた場合、迅速に安全性を再確認するよう要請。
③緊急時対応での国の関与強化
避難・屋内退避で民間事業者では対応困難なケースに備え、
国の実動組織が確実に行動できるよう、平時から関係機関の連携強化を要請。
④避難道路・退避施設、豪雪対応の集中的整備
原子力関係閣僚会議が示したインフラ整備を、
新潟の豪雪事情も踏まえ早期かつ集中的に実施するよう要請。
⑤使用済み燃料処分、武力攻撃対策、損害賠償の確保
県民の大きな懸念である課題へ、国が責任を持って対応するよう要請。
⑥東京電力の信頼性回復
依然として十分に信頼が回復していないと指摘。
国が設置する「監視強化チーム」の実効性と、活動成果の確実なフィードバックを要請。
⑦UPZ拡大と交付金制度の見直し
UPZ(緊急防護措置準備区域)が30km圏に拡大したにもかかわらず、電源立地対策交付金制度が
見直されていない点を問題視し、公平な制度運用のため早期の見直しを要請。
花角知事は容認判断の理由として、同6、7号機が原子力規制委員会の審査に合格し安全性が確認されたこと、原子力発電が優れた安定供給力と国産化率を有し、国が原子力の最大限活用を推進する方針を示していること、同発電所の再稼働が東日本の電力供給構造の脆弱性や電気料金の東西格差を是正し、脱炭素電源を活用した経済成長にも寄与するとの見通しを示し、「国民生活と国内産業の競争力を維持・向上させるためには、柏崎刈羽原子力発電所が一定の役割を担う必要があるとの国の判断は、現時点において理解できる」と述べた。
このタイミングで容認となった背景について花角知事は、「昨年3月に経済産業省から理解要請を受けて以来、長い時間をかけて関係各所と議論した。リスクを完全にゼロにはできないが、ただ漠然とした不安や合理性のない理由で再稼働を止めることはできないと考えていた」と説明。また、県民意識調査では、安全・防災対策の認知度が高いほど再稼働を肯定する意見が増加する傾向や、20~30代の若年層で賛成する傾向が強いことが示された一方、依然として原子力に不安を抱えている県民が多いことも明らかになった。
その上で知事自身が、今月半ばに福島第一原子力発電所を視察し、事故の影響や復旧作業の現状を直接確認した事を踏まえ、「原子力規制委員会が新規制基準を策定し、その知見と教訓が柏崎刈羽原子力発電所にも適用されている」と強調。19日の定例知事会見では発電所内の新しい技術や設備の改善にも触れ、「災害発生時の柔軟な対応を可能にする可搬型(モバイル型)設備の充実は、多重防護の観点からも教訓が反映されている」と評価。また、現場で働く東京電力社員の努力についても言及し、「約5,000人の職員や協力企業の方々がチームで動く意識を持ち、コミュニケーションを重視していた。『ワンチーム』という言葉が繰り返され、意識の高さを感じた」と語っていた。
また、花角知事は、自身の判断が県政全体の信頼の上に成り立つべきだとの姿勢を示し、県議会に対し、知事職継続への信任を求める意向を示した。





