原子力産業新聞

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核融合電力のPPA 国内初

10 Dec 2025

中西 康之助

Helical Fusionの田口昂哉代表取締役CEO(写真左)とアオキスーパーの河野正幸常務取締役 ©Helical Fusion

核融合エネルギー開発企業のHelical Fusion(ヘリカルフュージョン)は128日、愛知県内で食品スーパーを展開するアオキスーパーと、核融合実用化後の電力購入契約(PPA)を締結した。核融合を用いたPPAは国内初。

同社は、2030年代にアオキスーパーへの電力供給を開始する予定だ。発電炉の建設場所は非公開となっている。


同社はWEBサイト上で、核融合を社会実装するためには、技術開発だけでなく、実際にその電力を使う需要家の存在が不可欠だと説明。同社が長年、核融合による実用発電を目指した「ヘリックス計画(Helix Program)」のもと、ベースロード電源を担う発電プラントにこだわって開発を進めてきたことに触れ、今回のPPAは、これまでの同社の取り組みを評価された点に大きな意義があると説明した。

同社の田口昂哉代表取締役CEOは今回のPPAについて、ユーザー側から核融合実装への具体的な期待が示された点を強調し、「開発・投資を進める立場にとって『出口』が明確になったことで、今後、社会実装への期待が高まり、さらなる開発・投資が加速する好循環にも期待できる」と述べた。

また、アオキスーパーも自社のWEBサイトで、今回のPPAに至った理由を説明。同社が食料品を扱う企業として、地球温暖化による農産物や水産資源への影響を深刻に受け止めてきたことや、照明、冷蔵・冷凍設備など膨大な電力を必要とするスーパー業界では、エネルギー消費の大きさが課題となっていると指摘している。

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