三菱総研 地方創生の観点から原子力立地地域のワット・ビット連携に言及 コラムを公開
09 Jan 2026
三菱総合研究所は12月8日、「原子力立地地域へのデータセンター誘致で新たな地方創生を ワット・ビット連携が切り拓く原子力と地域の未来」と題したコラムを公表した。執筆者は同研究所政策・経済センターの吉永 恭平氏と、防災・レジリエンス政策本部の角田浩太氏。
これまで三菱総合研究所では、4回にわたる連載でワット・ビット連携の可能性を論じ、前回は、原子力事業者とデータセンター(DC)事業者の協業による両者への効果と、社会的な価値について言及した。<過去記事はこちら>
第5回となる本稿では、地方創生の観点から原子力立地地域でのワット・ビット連携の可能性に焦点を当てている。
同コラムは冒頭、原子力事業者とその立地地域がそれぞれ異なる課題を抱えていることについて言及し、これまで原子力事業者と立地地域の関係は、国のエネルギー政策や社会経済情勢の変化を背景に、時代とともに変化してきたことに触れた。
具体的には、国や事業者は地域住民に原子力への理解を求める一方、地域経済の発展に協力し、事業者と地域が共存する「地域共生」の考え方を打ち出してきたという点だ。原子力が有する技術や人材といった資源を地域振興に活用することで、相互の持続的発展を目指す関係構築が図られてきたとしている。
しかし近年、立地地域では人口減少や少子高齢化が進み、生活サービスの縮小や地域活動の担い手不足などが顕在化。原子力事業が一定の役割を果たしてきた地域においても、地域基盤の脆弱化は避けられない状況となりつつあると同コラムは指摘している。
また、電力自由化の進展により、総括原価方式に支えられてきた電力事業の収益構造は大きく変化し、原子力事業を取り巻く経営環境の不透明感が増している。その結果、事業者が従来のように地域経済を支えることが難しくなりつつあると分析した。
こうした中で、電力インフラとデータセンター(DC)などの情報基盤を一体的に活用する「ワット・ビット連携」は、原子力事業者と立地地域が直面する課題の解決につながる可能性を秘めていると指摘。同コラムでは、原子力事業者、立地地域、DC事業者の連携がもたらす相乗効果と、その実現に向けた課題について考察がなされ、その上で、事業者と地域が単なる補完関係にとどまらず、双方が自立しながら成長できる、新たな地方創生の取り組みへ転換する必要性を訴えている。
一方で、DC事業者にとって原子力立地地域が必ずしも有利とは限らない点も指摘。DCは通信網や需要が集積し、障害対応もしやすい大都市志向が強く、動画配信や生成AIなどでは一定の通信遅延が許容されることから、東京や大阪への集約が合理的とされる点を挙げた。また、原子力発電所周辺に適用される土地利用規制が、立地上の制約となる可能性もあるという。
こうした制約がある一方で、香川県では県内に立地したDCを核にIT関連企業を集積させ、地域雇用の創出を促進。AIやビッグデータを、製造業、農業、観光業などと結びつけることで、高付加価値なサービスや製品の創出を目指しているという。
立地地域、原子力事業者、DC事業者がそれぞれの強みを持ち寄り、共創の関係を築くことができれば、地方から日本全体の産業競争力を底上げするモデルへと発展する可能性を秘めていると指摘し、原子力立地地域のワット・ビット連携が日本社会や経済を再興する新しいモデルとなる可能性に言及した。





