原子力産業新聞

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エネ庁が夏の電力需給見通し発表、供給予備率は確保されるもコロナ影響を注視

27 May 2020

資源エネルギー庁は5月27日、今夏の電力需給見通しを発表した。全国の各エリアともに、安定供給に最低限必要とされる供給予備率3%が確保できる見通し。

国内の電力会社が加入する電力広域的運営推進機関(OCCTO)が取りまとめたデータに基づき、総合資源エネルギー調査会で25日に書面審議が行われたもの。それによると、電力需要がピークを迎える8月の供給力想定で、原子力発電については534万kWが見込まれている。現在、関西電力の高浜4号機(PWR、87万kW)、同大飯3、4号機(PWR、各118万kW)、九州電力の玄海3、4号機(PWR、各118万kW)が稼働中で、これらが織り込まれた格好だ。大飯3号機では、新型コロナウイルス感染防止対策のため、当初5月8日~7月15日を予定していた定期検査が2、3か月延期されることとなったが、同機が供給力から外れる場合でも、中西日本エリアの供給予備率は3%を確保できる見込み。

また、火力発電では、運転開始から47年となる東北電力の東新潟港1号機(LNG、34万kW)が昨冬に続き供給力として見込まれている。今夏の電力需給見通しと合わせて発表された昨冬の電力需給結果分析によると、運転開始から40年を経過した火力発電の1、2月の発電電力量は122億kWh(原子力産業新聞の調べで、同期間の原子力発電による発電電力量は104億kWh)。

全国的な暖冬の影響もあるが2月以降は、前年同月との比較で、電力需要は落ち込みを見せている。新型コロナウイルス感染拡大防止措置に伴う需要減も考えられ、電力広域的運営推進機関は「わが国の経済活動等に大きな影響を与えている」と懸念。資源エネルギー庁でも、今夏の電力需給見通し取りまとめに際し、「引き続き需給状況を注視していく」と、必要に応じた対応を図る考えを示している。

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