原子力産業新聞

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経済同友会 原子力規制のアップグレード提言

01 Jun 2026

石井敬之

経済同友会が原子力利用拡大に向けた規制のアップグレードを提言 ©KEIZAI DOYUKAI

経済同友会は5月29日、「エネルギー自立を国策の根幹へ~S+3Eの高度化に向けた意見~」を公表し、原子力利用の拡大に向けた「原子力規制のアップグレード」を提言した。AIの普及にともなうデータセンター需要の増加や、地政学リスクの高まりを背景に、原子力を「現実的な主力電源オプション」と位置付けた上で、審査の効率化・合理化や予見性向上、革新炉への対応、人材・体制強化などを求めている。

提言では、エネルギー安全保障の観点から、自立性の高いエネルギー供給体制の構築が不可欠と指摘。AIの急速な普及にともなうデータセンター需要の増加や国際情勢の不安定化を踏まえ、「安全性・安定供給・経済性・環境適合」(S+3E)の同時達成を、日本の国力の基盤と位置付けた。

「S+3E」の実現に向けて同友会は、原子力、再生可能エネルギー、移行期における化石燃料を適切に組み合わせたエネルギーミックスの構築が必要と提言。原子力については、「長期にわたる自立性の向上や安定供給、脱炭素を支えるとともに、電力系統の安定運用に不可欠な機能を提供する現実的な主力電源オプションの一つ」と評価した。

そして原子力利用拡大には、安全性向上と社会的理解の確保が前提とした上で、現行の規制体系について、福島第一原子力発電所事故後の高い安全水準の実現に貢献してきた反面、審査の長期化や判断プロセスの見通しにくさが、再稼働や新増設、関連投資の制約要因になっていると指摘した。このため、同友会は「原子力規制のアップグレーディング」として、案件の重要度に応じた審査資源の重点配分による審査の効率化・合理化を提案。加えて、審査期間や評価の考え方に関する予見性向上、小型モジュール炉(SMR)など革新炉の、従来の大型軽水炉とは異なる特性を踏まえた規制運用の検討、規制当局の人材・体制強化などを求めた。

また同友会は、原子力や再生可能エネルギー、蓄電池、送電網などを一体的に捉えた「電力システム最適計画」の制度化も提言。原子力発電所の立地地点には一定の社会的制約があるとの認識の下、楽観的な新増設シナリオに依存しない電力システムの構築を求めた。再生可能エネルギーについても用地制約などを踏まえた現実的な導入計画を求めた。さらに、原子力を系統安定性を支える「アンカー電源」と位置付けた上で、再生可能エネルギーや蓄電池、高効率火力などを組み合わせた現実的な電源ポートフォリオの構築を提言した。

一方、エネルギー政策の持続性を確保するためには国民理解と信頼の再構築が不可欠とし、原子力などエネルギー問題について、立地地域と電力消費地の相互理解を促進する必要性を強調。学校教育や社会人教育を通じ、エネルギーの選択肢やトレードオフを整理し、比較・判断するための基礎的なリテラシーを高めていくことが重要と指摘した。

経済同友会は、今後も関係省庁や地方自治体、研究機関、教育界、産業界などとの議論を通じ、長期的な視点からエネルギー自立の実現に向けた提言を継続していくとしている。

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