下北半島4市町村 原子力防災強化へ避難道路整備を要請
03 Jun 2026
青森県下北半島のむつ市・六ケ所村・大間町・東通村の首長らは5月27日、経済産業省の井野俊郎副大臣と会談し、原子力災害時の住民避難に必要な道路整備を国の責任で推進するよう求める要請書を手交した。2024年の能登半島地震を踏まえ、原子力災害と自然災害が同時に発生する複合災害への備えが重要だとして、避難道路や接続道路の整備促進に向けた財源確保を要望した。
下北半島には、東通原子力発電所や建設中の大間原子力発電所、六ヶ所村の燃料サイクル施設など、国内有数の原子力関連施設が集積している。4市町村は、原子力防災の実効性を高めるためには、住民避難を支える道路網の整備が不可欠だとして、地方負担を伴わない形で国が責任を持って財源を確保し、整備を推進するよう求めた。
要請では、①下北半島縦貫道路の全線早期整備、②三沢空港や東北縦貫自動車道と接続する上北沿岸高規格道路の整備促進、③国道338号バイパスや国道279号バイパスなど主要避難道路の整備促進、④各地域集落から主要避難道路へ接続する避難道路の整備――の4項目を重点事項として掲げた。
4市町村は要請の中で、能登半島地震によって半島地域における防災インフラの重要性が改めて浮き彫りになったと指摘。下北半島では避難道路の整備が進められているものの、依然として代替ルートが十分とは言えず、災害時の交通確保に課題が残るとしている。
さらに、日本海溝・千島海溝沿いで巨大地震の発生が懸念される中、下北半島内の多くの道路が津波浸水想定区域に位置していることから、原子力災害と自然災害が複合的に発生した場合の住民避難に強い危機感を示した。
むつ市の山本知也市長は、「下北半島には原子力関連施設が集中している。避難道路整備について国として前向きに支援してほしい」と述べ、原子力防災の実効性向上のため、下北半島全体の避難ネットワークの多重化を求めた。
六ケ所村の橋本隆春村長は、再処理工場など燃料サイクル施設が立地する地域として、住民の安心・安全の確保が重要だと指摘。国道338号沿線の道路整備など、同村周辺の道路網の強化を要望した。
また、大間町の野﨑尚文町長は、2021年の豪雨災害で実際に国道279号沿線の地域が孤立した経験に触れ、早急な道路整備の必要性を強調。東通村の畑中稔朗村長は、村人口の約半数が東通原子力発電所から5km圏内に居住し、村全体が30km圏内にあると指摘した上で、実効性ある避難計画の前提として避難道路や接続避難路の整備が不可欠との認識を示した。
これに対し井野副大臣は、能登半島地震の教訓を踏まえ避難道路整備の重要性に理解を示した上で、地元住民らの要望にしっかり応え、国の原子力政策を着実に進めていくとの考えを示した。
なお、同要請書は、内閣総理大臣、国土交通省、財務省にも提出されている。





