原子力産業新聞

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2021年度の政府概算要求が出そろう

01 Oct 2020

「高速炉に係る共通基盤のための技術開発委託費」の事業イメージ(経産省発表資料より引用)

2021年度の政府概算要求が9月30日に各省庁より出そろった。

経済産業省では、エネルギー対策特別会計として前年度より560億円増の8,365億円を要求。福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策など、福島復興・再生の関連で対前年度32%増の1,234億円、再稼働や原子力イノベーションの推進に向け同6%増の1,371億円を計上した。そのうち、「高速炉に係る共通基盤のための技術開発委託費」では、同13%増の45.0億円を要求しており、諸外国で加速化する高速炉研究開発の進展を踏まえ、日仏間に加え米国との国際協力も柱に、2018年に取りまとめた「戦略ロードマップ」の実現に向け技術開発に取り組む。また、安全性・経済性に優れた小型炉や水素・熱利用が可能な高温ガス炉などの技術開発を推進する「社会的要請に応える革新的な原子力技術開発支援事業」、「原子力の安全性向上に資する技術開発事業」についても、それぞれ、同33%増の12.0億円、同16%増の26.3億円と、いずれも増額要求となっており、国際連携や民間企業支援を通じた革新炉開発の取組強化が図られる。

文部科学省では、原子力分野で前年度より122億円増の1,597億円を要求。そのうち、基礎基盤研究・人材育成に関しては、対前年度12%増の79億円を計上。日本原子力研究開発機構「JRR-3」の安定運転、高温ガス炉に係る国際協力や研究開発、「もんじゅ」サイトを活用した試験研究炉の概念設計などを推進していく。また、ITER計画の実施については同34%増の286億円、次世代放射光施設(軟X線向け高輝度3GeV級放射光源、東北大学に建設中)の整備については同3.8倍の66億円をそれぞれ計上。

原子力規制委員会では、前年度より147億円増の687億円を要求。新型コロナウイルス感染症対策として、職員のテレワークやWEB会議中継に係るシステム整備、高度被ばく医療施設の感染症対応などに向け34億円が盛り込まれた。

復興庁では、原子力災害からの復興・再生として、前年度より2,816億円減の4,665億円を要求。2024年度の本格開所を目指す浜通り地域の国際教育研究拠点の基本構想策定に向けて、新規に2億円を計上している。

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