原子力産業新聞

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核燃料サイクル協議会が10年ぶりに開催、六ヶ所再処理の審査進展受け

21 Oct 2020

青森県と関係閣僚らが意見交換を行う核燃料サイクル協議会が10月21日、総理官邸で開催された。三村申吾青森県知事、加藤勝信官房長官、井上信治内閣府科学技術担当大臣、高橋ひなこ文部科学副大臣、梶山弘志経済産業大臣、池辺和弘電気事業連合会会長、増田尚宏日本原燃社長他が出席。〈経産省発表資料は こちら

10年ぶり、福島第一原子力発電所事故以降初となった同協議会は、これまで核燃料サイクル政策の節目に際し行われており、今回、7月に日本原燃の六ヶ所再処理工場が新規制基準適合性審査に係る事業変更許可に至ったことを受け、青森県の要請により開催されたもの。同じくMOX燃料加工工場とむつ中間貯蔵施設に係る審査書案の取りまとめや、北海道寿都町・神恵内村による高レベル放射性廃棄物の処分地選定に向けた文献調査応募の判断、エネルギー基本計画の見直し開始など、最近の原子力政策を巡る動きを含め意見交換がなされた。

三村知事は、「核燃料サイクルの推進には、原子力発電の一定の利用が不可欠。中長期的にブレない確固たる国家戦略として、原子力発電・核燃料サイクルを推進するとともに、国民の信頼確保と安心の醸成に努めること」などと要望。

国側は、「原子力は安定供給、エネルギー自給率などの観点から重要なベースロード電源であり、脱炭素化を実現していく観点からも重要なエネルギーであることから、今後も安全に利用していくことが必要」として、これまでの核燃料サイクル政策を引き続き堅持していくことを明言した。

青森県がこれまで関係閣僚の交替の都度確認を求めてきた「県を高レベル放射性廃棄物の最終処分地にしないこと」に関しても、国側より改めて「遵守」の姿勢とともに、「複数地域での文献調査実施につながるよう、最終処分の実現に向けて国が前面に立って取り組む」考えが示された。

また、電事連の池辺会長は、「原子燃料サイクルの推進に当たり、業界一丸となって日本原燃を全面的に支援する」とした上で、プルサーマルの推進に向け具体的な計画を早期に示すと回答。

この他、高速炉開発や人材育成・研究開発に関する質疑応答があった。

前回2010年11月に開催された核燃料サイクル協議会は、民主党政権への交替からほぼ1年後だったが、当時「原子力立国計画」に掲げられた高速増殖炉サイクルの早期実用化に関し第二再処理工場の検討なども議論となった。

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