原子力産業新聞

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菅首相が所信表明、「2050年までに温室効果ガス排出をゼロに」と脱炭素社会の実現に意欲

26 Oct 2020

所信表明を行う菅首相(衆院本会議にて、インターネット中継)

菅義偉首相は10月26日、臨時国会の開会に際し所信表明演説を行った。

9月の就任から1月を過ぎ菅首相はまず、「新型コロナウイルスの感染拡大、戦後最大の経済の落ち込みという国難の最中、国の舵取りという大変重い責任を担うこととなった」と述べ、感染症犠牲者への哀悼の意、医療関係者の尽力に対する敬意・謝意を表した上で、検査体制の強化、医療資源の適切な配分などとともに、安倍政権を引き継ぎ経済の再生に向けてさらなる対策に取り組む決意を表明した。

地球温暖化対策に関しては、「経済と環境の好循環」の考えのもと、成長戦略の柱としての位置付けを改めて述べ、「わが国は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と、脱炭素社会の実現を目指すことを明言した。さらに、「温暖化への対応は経済成長の制約ではない。積極的に行うことが産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながる」と、発想転換の必要性を強調。次世代型太陽電池やカーボンリサイクルなど、エネルギー・環境分野の革新的イノベーションの実用化を見据えた研究開発の加速化や、規制改革、地方との協力も含め、「総力を挙げて取り組む」とし、エネルギー政策については、「省エネルギーの徹底、再生可能エネルギーの最大限の導入、安全最優先で原子力政策を進めることで安定的なエネルギー供給を確立する」との姿勢を示した。

福島復興については、9月の双葉みらい学園訪問を振り返り、「生徒の皆様から復興に見せる熱意、風評被害と戦う取組を聴く中で、未来を切り開き世界に羽ばたく若者たちが育ちつつあると感じた」などと期待を寄せたほか、「例え長い年月を要しても将来的に帰還困難区域のすべての避難指示を解除する決意は揺るがない」と述べ、引き続き一層のスピード感を持って取り組んでいくとした。

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