原子力産業新聞

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経団連が「。新成長戦略」発表、新型炉開発も提言

10 Nov 2020

日本経済団体連合会は11月9日、2030年に向けて(1)DX(5月に発表したデジタル技術に関する提言)を通じた新たな成長、(2)働き方の改革、(3)地方創生、(4)国際経済秩序の再構築、(5)グリーン成長の実現――を柱に新政権とともに推進すべき施策を提言する成長戦略を発表した。

同戦略では、「地球環境の持続可能性と豊かな生活が両立する社会」を未来像の一つとして標榜。新政権の目指している「2050年カーボンニュートラル」(CO2排出実質ゼロ)の実現に関しては、既存の取組では力不足と指摘。脱炭素社会を目指したイノベーションを一層加速化すべく、革新的技術の開発・普及を産業政策の中軸と位置付けた上で、次世代蓄電池導入などの国家プロジェクトを立ち上げ、産学官総力を挙げた取組が進むよう長期的な国費投入を求めている。

原子力についても、「欠くことのできない手段」と、重要性を改めて示した上で、継続的な活用に向けて、安全性向上の取組や再稼働の推進とともに、2030年までの建設着手を目指し新型炉(SMR、高温ガス炉、核融合炉など)の開発を国家プロジェクトとして進めることを提言。一方で、再稼働が進まぬ状況下、建設・運転・保守を支える技術とノウハウの継承が喫緊の課題となっていることを強調。また、原子力の必要性に関し国が前面に立ち正面から論じるべきとも述べている。

「。成長戦略」と題する今回の提言について、経団連の中西宏明会長は、序文の中で「これまでの成長戦略の路線に一旦終止符『。』を打ち、『新』しい戦略を示す意気込みを表している」と説明している。

経団連による成長戦略発表に関し、梶山弘志経済産業相は、11月10日の閣議後記者会見で、原子力政策について、国民の信頼回復に努め既存のプラントの再稼働を進める重要性を改めて述べた上で、「現時点では新増設・リプレースは想定していない」と、政府の方針に変わりはないことを明言。また、「2050年カーボンニュートラル」実現に向けては、「再生可能エネルギーのみならず、原子力を含め、あらゆる選択肢を追求し使えるものは最大限活用することが重要」として、エネルギー政策を所管する経産省が主導し着実に議論していく姿勢を示した。

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