原子力産業新聞

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総合エネ調、発電コストの検証開始

31 Mar 2021

総合資源エネルギー調査会は3月31日、各電源の発電コストなどを試算するワーキンググループを始動した(=写真、オンライン中継)。エネルギー基本計画の見直しに向け「現実的かつバランスのとれたエネルギー需給構造の将来像」の検討に資するべく、同調査会基本政策分科会のもと、「発電コスト検証ワーキンググループ」(座長=山地憲治・地球環境産業技術研究機構副理事長)が約6年ぶりに再開。〈資料は こちら

同ワーキンググループでは2015年に、2014年策定のエネルギー基本計画に基づき、エネルギーミックス検討に向けて試算結果をまとめた。原子力、石油火力、石炭火力、LNG火力、地熱、水力、バイオマス、風力(陸上)、太陽光など、16種類の電源ごとに、モデルプラントを想定し、資本費、運転維持費、燃料費、社会的費用(事故リスク対応費、政策経費、環境対策費など)の総和を稼働期間の発電電力量で除したものとして算出。原子力については、発電に直接関係するコストだけでなく、将来発生する廃炉・核燃料サイクル(放射性廃棄物最終処分を含む)に係るコストや、事故対応費用、電源立地交付金などの社会的費用も織り込んで試算し、全電源の中では最もコストが低かった(設備利用率70%、稼働年数40年、事故リスク対応費用を最小とした場合)。

今回、再開したワーキンググループで、発電技術そのものの評価に適した「モデルプラント方式」によるコスト試算方法を継続することについては概ね合意。これに関し、OECDのコスト試算専門家会合に参画する松尾雄司氏(日本エネルギー経済研究所研究主幹)は、OECD/NEA・IEAが12月に公表した世界の電源別発電単価に係る最新の評価レポートを紹介し、(1)CO2回収・利用・貯蔵技術や原子力の寿命延長、(2)蓄電池の評価、(3)非OECD諸国のデータ、(4)新たな評価指標――に注目すべきとした。同氏は、欧米で用いられる種々の発電コスト評価指標を例示した上で、「各電源のコストは単一の値によって示されるものではなく、それが存在するエネルギーミックスの状況によって変化する」などと示唆。

委員からは、新たな脱炭素技術として期待される水素・アンモニアに関する評価や、今冬の電力需給ひっ迫を省み送配電網の強靭化についても考慮すべきといった意見、2050年カーボンニュートラル実現を踏まえ「大きな政策目標との観点から議論していく必要」との声もあった。

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