関西電力 建設資材にクリアランス金属を使用
16 Jul 2025
関西電力は7月11日、福井県美浜町に建設が決まっている緊急時対策所の建設資材に、原子力発電所から発生した廃棄物の「クリアランス金属」を使用すると発表した。
原子力発電所の解体等に伴って発生する廃棄物は、放射能レベルに応じて適切に処分するよう法律で定められている。その中でも、人体への影響を無視できるレベル、かつ、原子力規制委員会の認可・確認を受けたものは、一般の産業廃棄物と同じ扱いができる制度(クリアランス制度)が設けられている。
福井県内ではすでに、同制度の理解促進活動の一環として、クリアランス金属を活用した製品を公共施設に設置する活動を行っている。同県の杉本達治知事も、「当県ではクリアランス金属を資源として産業化する日本初のリサイクルビジネスに取り組む」との強い意欲を示している。
このクリアランス金属を、建物の主要構造部材として再利用するのは、今回が国内初の事例となる。関西電力によると、日本原子力研究開発機構(JAEA)の新型転換炉原型炉「ふげん」由来のクリアランス金属を一般金属に15%の割合で混ぜて鉄筋に加工し、緊急時対策所の一部に用いる予定。建設に使う鉄筋全体75トンのうち、クリアランス金属は5トン程度となる。同対策所は、地上3階建てで最大250名程度を収容可能。原子力災害対策の充実に向けて、各種設備(通信連絡設備・放射線防護設備・非常用電源)を強化し、2029年頃の運用開始を目指している。
同社は、「原子力発電所の運転・保守や解体に伴って発生する放射性廃棄物の低減に向けて取り組むとともに、クリアランス制度を活用し、循環型社会の形成に貢献していく」とコメントしている。