原子力産業新聞

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総合エネ調原子力小委、技術基盤に関し産業界より意見聴取

14 Apr 2021

総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会(委員長=安井至・バックキャストテクノロジー総合研究所エグゼクティブフェロー)は4月14日の会合で、これまでの議論を整理した。同委員会は、昨秋からのエネルギー基本計画見直しに伴い2月に約2年ぶりに再開。2050年カーボンニュートラルも踏まえた原子力の持続的な利用システムの構築に向けて、今回、(1)安全性向上の不断の追求、(2)立地地域との共生、(3)持続的なバックエンドシステムの確立、(4)ポテンシャルの最大限の発揮と安全性の追求、(5)人材・技術・産業基盤の維持・強化、(6)国際協力の積極的推進――に取組策を大別した。〈資料は こちら

諸外国における長期運転の動き(エネ庁発表資料より引用)

原子力のポテンシャルの最大限発揮に関して、資源エネルギー庁は、継続的な安全性向上を図りつつ、(1)設備利用率の向上、(2)40年を超える長期運転――の取組を進めていく必要性をあげ、米国における80年運転の認可など、諸外国の動きを例示。電気事業連合会原子力開発対策委員長の松村孝夫氏は、「既存原子力発電の最大限の活用が重要」との考えから、定期検査の効率的な実施、長期サイクル運転、原子力エネルギー協議会(ATENA)と連携した技術的知見の拡充など、設備利用率向上の取組について述べた上で、現行の運転期間制度の見直しについても検討がなさるよう求めた。

60年までの運転期間延長が認可されている関西電力の美浜3号機、高浜1、2号機に関しては、福井県の専門委員会が9日に、安全性向上対策に係る議論について、「原子炉の工学的な安全性を確保するために必要な対策が講じられている」とする報告書案をまとめている。14日の会合に出席した福井県知事の杉本達治氏は、「長期運転に際しては、むしろきめ細かな定期検査が必要なのでは。効率化はもとよりまずは安全最優先。広く国民の理解が得られるよう努めて欲しい」などと訴えた。

また、原子力の人材・技術・産業基盤の維持・強化に関しては、原産協会理事長の新井史朗氏、日本製鋼所M&E社長の工藤秀尚氏、三菱重工業常務執行役員の加藤顕彦氏、日立製作所常務執行役の久米正氏、日揮社長の山田昇司氏が産業界の立場から発言。

新井氏は、原産協会が毎年取りまとめている産業動向調査などから、原子力発電所の長期停止による影響や建設プロジェクト経験者の高齢化の実態を示した上で、「2050年カーボンニュートラル達成のためにも、原子力を将来にわたり一定規模で使い続けるようエネルギー政策にしっかりと位置付け、新増設・リプレースについても考慮してもらいたい」とした。

工藤氏は、原子力発電所部材の製造プロセス・実績について紹介。材料メーカーとしての供給責任を自負する同氏は、原子炉圧力容器・蒸気発生器の納入数が2020年度に2011年度の半分にまで落ち込んだデータを示した上で、「高品質が要求されマニュアル化できない。製造実績を積まなければ伝承は難しい」と、今後の製造技術・技能の継承に係る課題を強調した。

加藤氏、久米氏、山田氏は、各社による原子力イノベーションの取組を紹介。加藤氏は核融合炉までを見据えた将来展望を、久米氏は小型軽水炉「BWRX-300」の構想を、山田氏は先般発表された米国ニュースケール社の小型モジュール炉(SMR)開発への参画について説明した。

委員からは、SMRなどの革新炉開発に関し、「米国DOEのように日本政府もサポートすべき」といった研究開発への投資や、廃棄物発生までを含めた議論、規制側の参画を求める意見の他、立地地域の安心感醸成や再生可能エネルギーの負荷調整に果たす役割についても言及があった。

また、最近の原子力を巡る事案について、柏崎刈羽原子力発電所の核物質防護を巡る不祥事に関し、「きちんとガバナンスを建て直さねばならない。一方で、将来のエネルギー需給構造を考える上で、原子力技術の評価とは切り分けて冷静に考えるべき」という意見、13日に政府が決定した福島第一原子力発電所で発生する処理水(ALPS処理水)の海洋放出に関し、「漁業団体が反対している状況。決定する前に十分話し合って合意を得ることが必要だった」という声もあった。

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