チェコと英国が原子力協力を強化
23 Jul 2025
チェコのP. フィアラ首相は7月14日、英国・ロンドンでK. スターマー首相と会談し、原子力エネルギー分野における協力強化に関する覚書に調印した。
フィアラ首相は、「チェコ電力(ČEZ)と英ロールス・ロイス社による小型モジュール炉(SMR)の開発と製造における協力は、両国の経済および雇用に大きな貢献をする。両国は、エネルギー政策に関する見解が一致しており、大型炉、SMR、再生可能エネルギーの組合わせを目指している。英国との協力により、将来に渡ってエネルギーの安全保障が可能になる」と述べた。
この覚書は、2023年11月の「原子力分野における協力に関する共同声明」に続くもの。原子力発電プロジェクトの準備と建設、教育、研究開発の分野における協力関係を新たに拡大し、大型炉とSMRの両分野でも協力していく方針だ。また、産業およびイノベーションのパートナーシップを支援し、両国の企業がそれぞれの国のプロジェクトに参加することを目指している。この覚書調印により、チェコにトレーニングセンターの設立や、モジュール製造工場を建設するなど、サプライチェーンのローカリゼーションも進むことになる。
本覚書の調印を受け、ČEZとロールス・ロイスSMR社は7月17日、先行作業契約(Early Works Agreements: EWA)を締結した。共同で、チェコの南ボヘミヤ地域のテメリン原子力発電所のサイトを対象に、規制手続き、環境評価、サイト準備作業を実施する。初号機の運転開始は2030年代半ばを予定している。テメリン・サイト以外でも、ČEZの石炭火力サイトのある北西部のトゥシミツェ(Tušimice)においてSMRの導入について評価していく。
ČEZは2024年9月、最大300万kWeの設備容量を確保するためのSMRの優先サプライヤーに、ロールス・ロイスSMR社を選定。ČEZは、ロールス・ロイスSMR社の約20%の株式を取得し、戦略的少数株主となった。なお、ロールス・ロイスSMR社は今年6月、英政府機関のグレート・ブリティッシュ・エナジー・ニュークリア(旧グレート・ブリティッシュ・ニュークリア)が実施する同国初となる小型モジュール炉(SMR)の建設に向けた国際コンペにおいて、支援対象の優先権者に選定された。ロールス・ロイスSMRは既存のPWRをベースとしており、電気出力が47万kWとSMRにしては大型なのが特徴。少なくとも60年間稼働する。