原子力産業新聞

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規制委、福島第一原子力発電所事故の調査報告に対する事業者の見解を整理

12 May 2021

規制委定例会の模様(インターネット中継)

原子力規制委員会は5月12日の定例会合で、3月に取りまとめた福島第一原子力発電所事故の調査・分析に係る中間報告が示す技術的事項に対し事業者より提出された見解について整理した。今後、関連の検討会で議論に付される。

同委は、高い放射能汚染レベルが確認された1~3号機原子炉格納容器上部のシールドプラグ(直径約10m・厚さ約60cmの鉄筋コンクリートを3枚重ねた蓋)の汚染状況など、今回中間報告での指摘事項について、廃炉作業の進捗を見ながらさらに調査・分析を進めることとしており、今後の検討に資するべく事業者に意見を求め、10日までに東京電力を含め原子力発電所を有する計11社より報告があった。

事業者に対し意見を求めた技術的事項は計9項目。例えば、ベント(格納容器内の放射性物質を含む気体を外部環境に放出し内部の圧力を降下させる措置)に関しては、1990年代以降に事業者が講じてきた自主的安全対策「アクシデントマネジメント」として整備された「耐圧強化ベントライン」の設計方針や系統構成の妥当性があげられており、これらに対する各社の見解を把握した上で、過去の安全対策の検証も通じ今後の規制基準への反映などを図っていく。

各社による見解では中間報告に対し追加調査の必要性は特段みられなかったが、3号機水素爆発の関連で水素以外の可燃性ガスが寄与した可能性について、有機化合物の混在など、爆発のメカニズム解明や新知見の集約に向けて、今後規制委員会が実施する調査への協力姿勢が示された。水素挙動に関しては、1号機原子炉建屋への逆流と水素爆発との関係が未解明となっている。委員からは、BWRの水素漏えい対策について、各社から個別に聴取し議論を深めていく必要性が述べられた。

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