原子力産業新聞

海外NEWS

米規制委、オクロ社による超小型高速炉のCOL申請を却下

13 Jan 2022

「オーロラ」発電所の完成予想図 ©Oklo

米国の原子力規制委員会(NRC)は1月6日、オクロ・パワー社(Oklo Power, LLC)が超小型高速炉「オーロラ」について提出していた建設・運転一括認可(COL)の申請を却下すると発表した。

発表によると、オクロ社は同設計の安全面など複数の主要トピックスについて十分な情報をNRCに提出していない。NRCスタッフは不足情報を補う新たな取り組み方法として同社との連携協力を続けていたが、同社がこれらのトピックスに関して2021年7月に提出した報告書、およびこれを捕捉するため同年10月に提出した報告書でも情報不足は改善されなかった。NRCスタッフとしては審査スケジュールの設定が難しいと判断、同申請の却下を決めたもの。同社が今後、不足情報を補った改訂版の申請書で再びCOLを申請することは差し支えないとしている。

NRCのこの決定は1月11日付の連邦官報に掲載されており、オクロ社はその後30日以内に公聴会の開催を要請することができる。公聴会の開催が決まった場合、この決定の利害関係者である個人や事業体も参加することが可能だ。

「オーロラ」はオクロ・パワー社の親会社である先進的原子炉開発企業オクロ社(Oklo Inc.)が開発した小型モジュール炉(SMR)設計で、電気出力は0.15万kW 。HALEU燃料(U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウラン)を燃料として使用するが原子炉の冷却に水を使わず、同社によれば少なくとも20年間、燃料交換なしで熱電併給を続けることができる。

オクロ社は同設計をエネルギー省(DOE)傘下のアイダホ国立研究所(INL)敷地内で、2020年代初頭から半ばにかけて着工することを目指しており、DOEも2019年12月にINLでの「オーロラ」建設を許可した。これを受けて、オクロ・パワー社は2020年3月、非軽水炉型の先進的SMRとしては初のCOLをNRCに申請。NRCスタッフは同年6月にこの申請を受理し、審査を進めていた。

NRCの原子炉規制局によると、オクロ社の申請書で不足していたのは重大仮想事故に関する追加情報や、リスク重要度が高い構造物、系統および機器(SCCs)の重要度別分類方法などである。設計情報に加えて、建設サイト固有の情報もCOL審査では案件毎に必要となるが、NRCが発出した追加情報の提示要請(RAIs)に対し、オクロ社は再三にわたりは実質的な情報を提供しなかった。こうした状況では、NRCは「オーロラ」設計の安全性を見極めることは出来ないと説明している。

現地の報道によると、オクロ社のC.コクラン最高執行責任者(COO)はNRCの今回の決定について、「残念なことだが当社とNRCはその他のプロジェクトでも協議中であり、それらを是非とも前進させたい」とコメント。「オーロラのCOL申請は、先進的核分裂プラントの申請として初めて受理されたものであり、(今回は却下されるに至ったものの)今後の審査の実現に向けて多くのものを新たに学ぶことができる」とした。同COOはまた、「先進的核分裂プラントや使用済燃料のリサイクルで製造されるHALEU燃料は、クリーンな未来を構築する鍵になると信じている」と表明。その一方、公聴会の開催要請や改訂版のCOL申請書を提出する可能性については明らかにしていない。

(参照資料:NRCの発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)

cooperation