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韓国SKグループの傘下企業が米テラパワー社とSMR協力の覚書

19 May 2022

協力覚書に調印した両者の首脳 ©SK Inc.

石油精製事業や通信事業を主軸とする韓国の大手財閥企業SKグループは5月17日、持ち株会社のSK社(SK Inc.)とそのエネルギー関係子会社のSKイノベーション社(SK Innovation)が、米国の原子力開発ベンチャー企業のテラパワー社と包括的な事業協力を実施するための了解覚書を締結したと発表した。

ビル・ゲイツ氏が会長を務めるテラパワー社は現在、GE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社と共同で、第4世代の原子力技術であるナトリウム冷却の小型高速炉「Natrium」、および同炉と溶融塩熱貯蔵システムを組み合わせた「ナトリウム電力貯蔵システム」を開発している。SK社らは、無炭素なエネルギーミックスの現実的な選択肢となる小型モジュール炉(SMR)の技術を確保し、その商業化に協力することで韓国における次世代原子力産業の発展を支援。CO2排出量の削減という世界レベルの目標達成にも貢献し、SKイノベーション社が提供するエネルギー商品の脱炭素化も進めていく考えである。

今回の発表によると、SKグループは昨年以来、地球温暖化の防止で「2030年までに全世界におけるCO2削減目標量の1%削減に寄与する」ことを目標に掲げている。同グループはCO2を排出しない安全な電源としてSMRの競争力に注目しており、「複雑な安全装置を使わず自然循環方式で原子炉の冷却が可能なほか、設計・建設方法の簡素化により設置と運転にかかるコストも削減できる」と指摘。SMRを前記目標達成の強力な選択肢に位置付けている。

今回の覚書に基づいて、SK社らは今後、テラパワー社の次世代SMR技術や放射性同位体(RI)の生産能力を自らの事業領域と結び付け、様々な事業協力を展開していく。特に高い安全性に加えて、放射性廃棄物の排出量を大幅に削減できる燃料技術から、テラパワー社のナトリウム冷却高速炉(SFR)を、次世代SMR技術の中でも主力に位置付けられると高く評価している。

SK社らはまた、輸送部門などあらゆる分野で電化が進み電力需要が急速に増加するなか、SMRは間欠性のある再生可能エネルギーを補完するなど、様々な可能性を持っていると表明。テラパワー社の溶融塩熱貯蔵システムが、電力需要に応じて発電量を調節可能な点を特に強調している。

SK社らはこのほか、テラパワー社の技術で医療用放射性核種のアクチニウム225を製造できる点にも着目。アクチニウム225は、正常な細胞を傷つけずにガン細胞のみを破壊する「標的アルファ療法」で最も有効なRIと言われており、テラパワー社はアクチニウム225の製造・販売を通じて同療法の商業化加速を計画中である。

(参照資料:SKグループの発表資料(韓国語)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの5月17日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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