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米国のボーグル3号機で燃料の初装荷開始

17 Oct 2022

ボーグル3号機 ©Georgia Power

米サザン社の子会社であるジョージア・パワー社は10月14日、ジョージア州のA.W.ボーグル原子力発電所で建設中の3号機(PWR、110万kW)に、燃料を装荷する作業を開始したと発表した。

同炉および同じサイトで建設中の4号機(PWR、110万kW)はともに米国で約30年ぶりの新設計画であり、「燃料の装荷は3号機の起動と運転開始に向けて極めて重要な節目になった」と同社は強調。装荷後は起動試験を実施して、同炉の一次系や蒸気供給系で設計通りの温度や圧力を実現するなど、健全に運転できることを実証し、冷態状態から初の臨界状態に移行、送電網に接続した後は出力を定格まで上昇させる計画である。現時点で3号機の営業運転開始は、最新のスケジュール通り2023年第1四半期に予定されている。

ボーグル3、4号機では米国で初めてウェスチングハウス(WH)社のAP1000を採用しており、建設工事はそれぞれ2013年3月と11月に始まった。これらとほぼ同時期に、同じくAP1000を採用して本格着工されたV.C.サマー2、3号機建設計画は、WH社による2017年3月の倒産申請を受けて中止を余儀なくされたが、ボーグル増設計画では、同じくサザン社の子会社で両炉の運転を担当予定のサザン・ニュークリア社がWH社から建設プロジェクトの管理業務を引き継ぎ、建設工事を継続していた。

同プロジェクトでは2020年10月に3号機の冷態機能試験が完了し、同年12月に初装荷用の燃料がサイトに到着した。2021年7月末には3号機の温態機能試験が完了しており、原子力規制委員会(NRC)は今年8月、同炉が建設・運転一括認可(COL)とNRCの規制に沿って建設されたこと、運転も行われる見通しであることを確認した上で、サザン・ニュークリア社に3号機の燃料装荷と運転開始を許可した。

初装荷用の燃料は現在、サイト内の使用済燃料用の貯蔵プールに保管されているため、サザン・ニュークリア社とWH社の技術者は今後数日間かけて、157体の燃料集合体を一体ずつ同プールから取り出し3号機の炉心に装荷する。

3、4号機はジョージア州の4社が共同で保有しており、ジョージア・パワー社が45.7%出資しているほか、オーグルソープ電力が30%、ジョージア電力公社(MEAG)の子会社が22.7%、およびダルトン市営電力が1.6%出資。ジョージア・パワー社で会長と社長を兼任する C.ウォマックCEOは、同プロジェクトについて「ジョージア州の今後のエネルギー供給を担う長期の重要な投資案件であり、我々は歴史的偉業を成し遂げつつある」とコメント。今後、60年から80年にわたり、270万もの顧客や州民にクリーンでCO2を排出しない安価なエネルギーを提供していくとしている。

(参照資料:ジョージア・パワー社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月14日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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