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米ニュースケール社 出力7.7万kWのSMRで設計承認申請

06 Jan 2023

「VOYGR」発電設備の完成予想図
©NuScale Power Corp.

米ニュースケール・パワー社は1月4日、同社製の小型モジュール炉(SMR)「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」のうち、単基の電気出力が7.7万kWのモジュール設計について、1日付で原子力規制委員会(NRC)に「標準設計承認(SDA)」を申請したと発表した。

NRCはすでに2020年9月、出力5万kWのNPMに対してSDAを発給済み。ニュースケール社は2018年6月にモジュールの出力を20%増強して6万kWとし、さらに2020年11月には先進的試験のデータやモデリング・ツールによる分析結果から、出力を25%増強した7.7万kW版を設計していたもの。今回の申請は、顧客が希望する出力レベルに応じて、同NPMを6基搭載した原子力発電設備「VOYGR-6」(出力46.2万kW)の建設を念頭に置いている。7.7万kW版も基本的な安全性能は5万kW版と同じであり、この出力増強によってNPMの経済性はさらに改善されると強調している。

ニュースケール社によると現時点でNRCの承認が得られたSMRはNPMのみであり、このことは同社のみならず原子力産業界全体にとって重要な節目となった。最初の1件が承認されたことで、2件目の審査は一層効率的かつ効果的に進むと同社は指摘。7.7万kW版のNPMについては、すでにNRCが申請前から予備的協議と申請の準備状況に関するレビューを進めていたという。

NRCがNPMの安全性を認めたことで、「VOYGR」の建設を目指すルーマニアやポーランドの計画が過去2年の間に大きく進展した。ルーマニアでは2022年5月に、国営原子力発電会社(SNN)が建設サイトのオーナーとともにニュースケール社と了解覚書を締結。SNNは同年10月、民間のエネルギー企業と共同でプロジェクト企業を設立した。

ポーランドでは2021年9月、鉱業大手のKGHMポーランド銅採掘会社らがニュースケール社と協力覚書を締結。採掘事業に必要な電力や熱エネルギーを石炭火力発電所ではなく、SMRで供給することを検討している。2022年2月には、両社は「VOYGR」の建設に向けて先行作業契約を締結した。

(参照資料:ニュースケール社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月5日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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